どんなことでも「やればできる」そんな自分になりたい

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。

やればできるという感覚はどうやって生まれるのでしょうか。

生まれた時から、私たちは経験を積んで、ちょっとずつ乗り越えながら生きています。子供の時の遊びの中で、受験だったり、部活での練習や、就活だったり、社会人になってからと、それぞれの発達ステージを進むほどに課題が待っていたのではないでしょうか。その経験の中で、乗り切れたことも、または挫折したこともあったと思います。

やればできるというフレーズは、私に勇気をくれた言葉です。私自身、やればできるということが、どのようにして成り立つのかとても興味があり、学んできました。そのメカニズムを紐解きたいと思います。

やればできるの前提

前提としては、まず「やること」がなければ始まらない感じですね。そしてやる気があれば、やり切ることができそうです。では、やる気とは何から生まれるのでしょうか。やる気がでる状態は、分かりやすく言えば、自分が期待したものが得られる時でしょう。つまり、頑張った結果が魅力的なら、やる気は持続するということです。ですから、自分が手に入れたい欲しいものがある、または達成したいことがある、挑戦したいことがあるという前提が必要になります。

私の「やればできる」という感覚に繋がる体験を話します。じつは、小さい時は何をしても「できない私」がいました。小学校低学年の時、逆上がりを体育でやることになったのです。私はいくらやっても、まったく出来ませんでした。みんなも最初はできなかったのですが、だんだんできるようになっていきました。一人取り残されたくなかったのか、あるいは、できる自分になりたかったのかはわかりませんが、私は放課後学校で、一人練習をやり続けました。練習するごとに、少しずつですが何となくコツがつかめてきて、ある時、突然、逆上がりができたのです。

成功体験を振り返る

この単なる逆上がりの経験は、社会人のころは全く忘れていました。50歳を過ぎ、ある学びの中で、自分の小さい時の成功体験を語るエクササイズがあり、ふと逆上がりのことが、思い出されました。過去を振り返り、その人生最初に自分でやり遂げた経験が、自分を信じることを教えてくれたと気づくことができたのです。たかが逆上がりですが、私には「困難なことでもやり続けたらできる」という感覚を教えてくれた出来事でした。

やればできるのメカニズム

つまり、やればできるにつなげるためには、①「自分が期待する結果のようだ」といった、結果に対する予測があり、そして、②「期待する結果を生みだすために必要な行動ができそうだ」という効力予測があり、その二つの要素で自己効力感が成り立ちます(Bandura,1997)。 

そして、③自分にとって困難な状況をなんとか工夫しやり続けるように、自分に対して応援する。つまりこの困難から逃げずに適応する能力(やり抜く力)、としてのレジリエンスが育ちます。レジリエンスとは、「困難で脅威的な状況にもかかわらず、うまく適応する能力・過程・結果」と定義され(Masten,Best,&Garmezy,1990)、誰でもが獲得し、身につけられる能力であると言われています(Grotberg,2003)。 困難な状態でもうまく適応することで、めげない自分が鍛えられるようです。とくに、仲間と一緒に助け合いながら、他者を応援するなど、他者とのかかわりあいの中で、育まれます。

これら①②③を築いていくことがやる気を維持し、最終的に「やればできる」になると私は考えます。

どんなことでも「やればできる」にするには

ところで、仕事をして得られる結果が、あなたにとって、仕事が魅力的でないこともありますね。仕事に意義を見出せないのに、やる気――モチベーションを持って取り組むことはしんどいです。そのような困難な時こそ、レジリエンスを鍛えられるようにしたいものです。

必ず仕事に意味を見出せるという方法はないのですが、イエール大学のエイミー・レズネズキーは、「ジョブ・クラフティング」という手法を通じて、「仕事を主体的に捉え直すと、楽しめるものに変えられる」と提言しています(リズ・フォスリエン、モーリー・ウェスト・ダフィー(2020)、訳者石垣賀子、『のびのび働く技術』 株式会社早川書房77p)。

例えば、自分にとって「仕事をする上で大事にしたいこと、例えば:自己成長、有意義な人間関係の構築など」、「やる気に繋がること、例えば:他者への貢献や専門知識の獲得など」を書き出してみます。そして、「今あなたが担当している業務の中で、自分がやる気と業績を向上させる仕事は何か」を考えて、今の仕事を捉え直してみると、違った見方ができるようになり、主体的に行動できるようになるという考えです。

下記の「3人のレンガ職人の話」が、「仕事を捉え直すこと」について理解しやすいのでご紹介します。

世界中をまわっている旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、一人の男がレンガを積んでいた。旅人は1人目の男のそばに立ち止まって「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねた。レンガ積みに決まっているだろ朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。」男はひび割れた両手を差し出して見せた。

もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる2人目の男に出会った。旅人は「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねた。「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。この仕事のおかげで、こうやって仕事があるから家族全員が食べていくことに困らない。大変だなんていっていたら、バチがあたるよ。」

また、もう少し歩くと、3人目の男が活き活きとレンガを積んでいるのに出くわした。旅人は「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねた。「ああ、俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!素晴らしいだろう!」旅人は、その男にお礼の言葉を残して、また元気いっぱいに歩き続けた。

いかがでしたか。レンガ職人の仕事は3人とも同じ、レンガを積むことです。毎日愚痴をこぼしてレンガを積んでいる仕事も、3人目の職人のように「仕事の上で大事にしたいこと」や、「やる気に繋がること」を見出すことで、仕事の捉え方が変わり、仕事の意義が生まれてくるのです。そうなれば、自己効力感が成り立ち、レジリエンスが育まれ、どんな仕事でもやり抜く力を生みだすことができるようになりそうですね。

「やればできる」の内なる力を 一緒に育てていきましょう。