仕事の仕方が変わってきた?! あなたのマインドセットは錆びている?

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。

新しい日常が、うっすらと見えてきたように思える今日この頃。リモートワークが新たな日常を生みだし、それによって新たな戸惑いも生まれてきているように思います。一週間の中で、人とかかわりながら会社で仕事をする数日と、残りの数日を家で一人仕事をする。こんな毎日を繰り返しながら、あなたは頑張って生きている。このような日常を繰り返しながら、この先も仕事をしていくのかなと・・・。

なんだか最近疲れがとれない、周りとのコミュニケーションが少なくなってきて、なんだか不安感がある、そんな声が聞こえてきています。自分の心の中が落ち着かない、バランスをどのようにとっていけばよいか、迷いが生まれてきている方もいるのではないでしょうか。職場での仕事の仕方や人間関係のあり方が、変化してきたせいかもしれません。

環境が変われば、当然仕事の仕方も変わってきます。自分らしく働くためのヒントをお話しします。

リモートワークで「働き方」の本質が変わる

単に働く環境が増えたという物理的なことだけではなく、「働き方」の本質が変わっていく、大きな変換点になってくると思います。最近、なんだかしっくりこない、モヤモヤ感があるなら、それに気づいているのかもしれません。

以前だったら、職場で顔を合わせながら、周りから「期待されている」仕事をしていたと思います。一方リモートワークでは、あなたは一人で仕事を確実に仕上げる能力とスキルが期待されているといえるでしょう。そう、自律的な仕事の仕方が求められてきています。リモートワーク自体が拡大するかしないかは、各企業によって異なると思いますが、私たちの「仕事の仕方」が問われているのです。つまり、あなたの仕事に関するマインドセットも変えていく時なのです。今までの当り前が、これからの当り前ではなくなるのです。

周りから「期待されている自分」を演じているだけじゃ・・・ダメみたい

こんな気持ちがあなたの中にありますか? 

自分への役割期待に応えて相手が望んでいるように行動してしまう。認めてもらいたくて、何でも引き受けて頑張ってしまう自分、本当はノーと言って、もっと怠け者の本当の自分でいられたらと思うのに。期待に応えられるように努力しているのに、報われていないと思ってしまう。自分の仕事で手一杯なのに、頼まれたら断れず疲れてしまう。確実に仕事をして、求められる以上に頑張ってしまう自分がいる。  

「期待されている自分」を演じるために、自分を殺してきた

日本の組織はメンバーシップ型で、チームみんなが共同体感覚で仕事をしています。みんな一緒に頑張ったとか、調和を重んじ周りとの関係の中で期待される自分の役割を見つけだすことに注力してきました。ですから、社会に適応するために、本来の自分をある程度抑制せざるを得ないのも事実です。職場で周囲の期待に応えようと振舞うのは、職場の人たちと良い人間関係を維持し、承認を得たいからと言えるでしょう。

しかし一方で、周りから「嫌な人と思われないか」「嫌われるのではないか」という不安から、自分を殺して「偽りの自分」を演じているのであれば、あまりに相手任せで、あなたにとって決して良いとは言えません。誰からも「嫌われない」ために仕事をするなんて、無理な話だと思います。

『嫌われる勇気』という本のタイトルがありましたが、まさしくその通りで、嫌われることを怖がらずに、「ありのままの自分を表現する」ことって大事なことです。人生を豊かに生きていく、自分軸が見えてきます。そのためにも、あなたの今までの「ものの捉え方と受け止め方」を少し変えて、自分軸をみつけていく方法を一緒に考えていきましょう。

「あの人、きらい!」 自分のマインドセットが錆びついているのでは?

職場には、苦手な人が必ず少しはいますね。自分が「相手を嫌いだ」と思うと、「相手も、きっと私のことを嫌っているはず」と思ってしまいます。相手は相手で「自分は嫌われている」とあなたの態度から伝わっているものです。職場で相手との関係性がギクシャクすればするほど、自分を押し殺して仕事をするので、楽しくないし胃痙攣さえ起きそうになります。それがかえって、悪い方に解釈され良かれと思った行動が、最悪の結果になってしまうことだってあります。

相手を「好き、嫌い」の2択から、「普通」をプラスして3択に

残念ながら、相手の性格や気質、言動、行動、感情は、あなたには変えられません。あなたのものの捉え方を変えるしかありません。そう、あなたのマインドセットを見直してみましょう。ではどうしたら良いか。相手を判断する基準を「好き・嫌い」の2択から、「好き・普通・嫌い」の3択に変更してみましょう。こうするだけで、確かに2択で嫌いな人が、3択にすると減っていくそうです(樺沢紫苑(2020)、『ストレスフリー超大全』ダイヤモンド社69p)。

「好き」に区分される人は、2択と同じかもしれませんが、「普通」を作るというのが大事ですね。「普通」に区分される人は、仕事上のコミュニケーションをする人たちですから、一緒に仕事する時だけかかわるといった、あまり個人的な関係性を持つ必要がなくなりますね。もっと自由に行動していけるのではないでしょうか。

「嫌い」の中から、自分軸がみつかる

3択にすることで、「嫌い」に区分される人は確かに減ると思います。この「嫌い」の人たちを「なぜ・どうして自分は嫌いなのか」と、内省してみてください。相手の「何に」憤りや、いやな感情が湧くのか、それが分かると自分が大切にしている価値観に気づくチャンスになるでしょう。相手との価値観の違いが、自分の苦手意識や嫌い感情に繋がっているのです。人間は、自分の価値観が分かれば、客観的に他者を見ることができるようになります。その自分軸を大切に行動することを大事にしていきます。自分の軸が見えてくると、かかわり方もわかってきます。

他人任せから、自律的なGiver(ギバー)へ

もう一つの視点が、周りが「期待している自分」を演じてしまうということでした。「期待に応える自分」が悪いのではありません。自分を殺してしまうような自己犠牲的な行動をしなければ良いのです。では自己犠牲的とはどういうことか。例えば、飛び込みの仕事を上司や先輩から急に頼まれると、いつも断れず「やらなければいけない」と残業をして、結局は自分の私生活が犠牲になってしまう。自己犠牲的な意識は、他者にコントロールされた「やらされ感」で自分を見失うことだと思います。これではセルフエスティームを低めてしまいます。

自分のものの捉え方を自己犠牲的から他者志向的に捉え直していきましょう。他者志向的とは、簡単に述べると、相手の期待や願いに応えるために、自律的に「自分のできること」を相手に与える行動(Giver)といえるでしょう。大事なことは、自分を大切にして他者を支援するのです。でも、だからと言ってすべてのことに応えていては、元の木阿弥になってしまいますね。

ハーバード大学のレスリー・パーロウ教授は、研究で、自己犠牲的なエンジニアたちを他者志向的に転換するために、一つのルールを作ったのです。それは、自分の仕事に集中する時間を週に3日の午前中と決めて、その時間は「自分の仕事に集中する」と周りに伝えて仕事をし、他の時間は他者をサポートしたのです(アダム・グラント著(2014)『GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代』三笠書房)。他の例では、週1回はノー残業ディとし、その時間は「自分の好きなことをする」と決めたというものでした。

これらの例から見えてくるのは、時間管理を自分で決めることの重要性です。自律的に判断し、行動することで満足感が生まれます。その上で他者に役立つ行動は、あなたを幸福感で満たすことでしょう。人生時間はあなたのものです、一歩ずつ実行してください。

自分のできること」とは、仕事での自分の強み、得意なこと、または難なくできていること、そして自分にとって価値あると思えることです。まず自分の仕事の能力やスキルを棚卸してみると良いですね。プライベートでも自分の興味や関心のあることにチャレンジしていくと、自分の能力やスキルの方向性、そして価値観が見えると思いますよ。

アドラー曰く、「誰かが始めなければならない。見返りが一切なくても、誰も認めてくれなくても、あなたから始めるのだ。」