セルフエスティーム(自己肯定感)を高めるための新習慣⑩
こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。
セルフエスティーム(自己肯定感)を高めるためのエクササイズをお届けします。
●「やればできる」と思える自分になるために
「やればできる」というフレーズは、私に勇気をくれた言葉です。今回はその「やればできる」について考えていきましょう。そのメカニズムを紐解きたいと思います。
やればできるという感覚は、まずやることがなければ始まらない感じですね。そしてやる気があれば、モチベーションが持続するというものです。では、やる気とは何から生まれるのでしょうか。やる気が出る状態は、分かりやすく言えば、自分が期待したものが得られる時でしょう。つまり、頑張った結果が魅力的なら、やる気は持続するということです。ですから、自分が手に入れたい欲しいものがある、または達成したいことがある、挑戦したいことがあるという前提が必要になります。
私の「やればできる」という感覚に繋がる体験を話します。じつは小学生の時のお話です。小さい時は、何をしても「できない私」がいました。小学校低学年の時、逆上がりが体育でやることになったのです。最初はみんなできなかったのですが、私はいくらやっても、まったく出来ませんでした。みんなができるようになっていく中、一人取り残されたくなかったのか、あるいは、できる自分になりたかったのかもしれませんが、私は放課後学校で、一人練習をやり続けました。練習するごとに、少しずつですが何となくコツがつかめてきて、ある時、突然、鉄棒の逆上がりができたのです。
この単なる逆上がりの経験は、50歳を過ぎるころには全く忘れていました。そのころある学びの中で、自分の小さい時の成功体験を語るエクササイズがあり、ふと思い出されました。過去を振り返ったことで、たかが逆上がりでしたが、人生最初に自分でやり遂げた経験と気づくことができたのです。私は「困難なことでもやり続けたらきっとできるだろう」という感覚をその時に体感したわけです。
●経験を「やればできる」につなげるために
つまり、やればできるにつなげるためには、課題が、①「自分が期待する結果のようだ」といった結果に対する期待があり、そして、②「期待する結果を生みだすために必要な行動を続けられそうだ」という二つの要素で自己効力感、やる気が成り立ちます(Bandura,1997)。
そして、③自分にとって困難な状況をなんとか工夫しやり続けるように、自分に対して応援する。この困難から逃げずに適応する能力でレジリエンスが育ちます。レジリエンスとは、「困難で脅威的な状況にもかかわらず、うまく適応する能力・過程・結果」と定義され(Masten,Best,&Garmezy,1990)、誰でもが獲得し、身につけられる能力であると言われています(Grotberg,2003)。 困難な状態でもうまく適応することで、めげない自分が鍛えられるようです。とくに、仲間と一緒に助け合いながら、応援しあってなど、他者とのかかわりあいの中で、育まれます。
これらの土台を築いていくことが「やればできる」のスタートラインになると私は考えます。
●仕事でやる気を出すための視点転換法
とはいえ、やらなければならない仕事、自分がまったくやったことがない仕事でも、やる気をだす必要がありますね。その仕事をして得られる結果が、あなたにとって、魅力的でないこともあるでしょう。意義を見出せないのに、やる気――モチベーションを持って取り組むことはしんどいです。そんな自分にとって困難な時こそ、レジリエンスを鍛えられるようにしたいものです。前向きに仕事に取り組むために、仕事に対する見方を変えるアイディアを紹介します。
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①自分が仕事をする上で大事にしたいことを明確化する
例えば自己成長、有意義な人間関係の構築など
②自分のやる気に繋がることを明確化する
例えば他者への貢献や専門知識の獲得など
③今担当している業務の中で、自分がやる気と業績を向上させる仕事は何かを考えるために、今の仕事を捉え直してみる
上記の質問の答えを思うままに書き出してみると、違った見方ができるようになり、どんなことにも前向きに行動できるようになるという考えです。
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必ず仕事に意味を見出せるという方法はないのですが、仕事に対する新たな意義が見つかるかもしれません。イエール大学のエイミー・レズネズキーは、「ジョブ・クラフティング」という手法を通じて、「仕事を主体的に捉え直すと、楽しめるものに変えられる」と提言しています(リズ・フォスリエン、モーリー・ウェスト・ダフィー(2020)、訳者石垣賀子、『のびのび働く技術』 株式会社早川書房77p)。
下記の「3人のレンガ職人の話」は、仕事を主体的に捉え直す考え方の例として理解しやすいのでご紹介します。
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世界中をまわっている旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、一人の男が難しい顔をしてレンガを積んでいた。
旅人は1人目の男のそばに立ち止まって、「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねた。「レンガ積みに決まっているだろ。朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。」男は自らのひび割れた両手を差し出して見せた。旅人は、その男に慰めの言葉を残して、歩き続けた。
もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる2人目の男に出会った。旅人は尋ねた。「ここでいったい何をしているのですか?」、「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。」「この仕事のおかげで俺は、ここでこうやって仕事があるから家族全員が食べていくことに困らない。大変だなんていっていたら、バチがあたるよ。」旅人は、男に励ましの言葉を残して、歩き続けた。
また、もう少し歩くと、3人目の男が活き活きとレンガを積んでいるのに出くわした。「ここでいったい何をしているのですか?」旅人は興味深く尋ねた。「ああ、俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!」「大変ですね」と旅人はいたわりの言葉をかけた。「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!素晴らしいだろう!」旅人は、その男にお礼の言葉を残して、また元気いっぱいに歩き続けた。
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「やればできる!」の感覚を育むためにも、苦手意識の調整をして、様々な経験に前向きに取り組んでいきましょう。