自己決定力を鍛えましょう。
こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。
2020年4月がスタートしました。 コロナウィルスという厳しい状況の中で新しい一歩をスタートする皆さんに、このテーマをお伝えしようと思います。
自己決定力という言葉の響きには、とても強い印象を感じるかもしれません。求められたらすぐに自分の考えを伝えられる「できる人」という感じでしょうか。でも最初から、自己決定できる人はなかなかいません。
自己決定力を鍛える必要性
では、この自己決定力を鍛えるってどういうことなのでしょうか。じつは、自分の能力を成長させるトリガー(引き金)であると考えています。なぜそう考えているかといえば、私たちが社会の中で生きていくためには、周りとの調和が大切だと思うことが多いかもしれません。しかし、あまりにも周りのことばかり考えてしまうと、自分の存在が無くなってしまうようだし、逆に自分を主張すると、相手に嫌われて孤立してしまうのではないか。そんなせめぎあいの中で周りを優先している自分に気がつくことがありませんか。私たちは、小さいころから人の迷惑にならないように行動することや、自分のことを内省するよりも、調和を重んじ社会に沿うことを大事にするように教えられてきます。しかし、周りに合わせていると自分で考える能力が育成されません。「自分自身がどう生きていくか」を決めることは、自分の人生にとって最も重要なことだと考えます。自分がどう生きたいか自分で考え、決める力を育てることが大事ではないかと思っています。
自己決定するとは、自分を深く理解して、自分に責任を持つこと
私が考えている自己決定力は、その場を切り抜けるテクニックをお伝えするのではありません。自分が、どうありたいかのイメージを明確化することなのです。自分は何を大切に思う人間か、どんなことに時間を使いたいのか、どんなことに没頭したいのか、どんなことで癒されたいのか、どんな人と一緒にいたいのか、どんなことをして生きていきたいのか・・などなど。自己認知を深めていくことで、自分の思考がわかり、自分がどう行動したいのか分かってきます。
私は、人生前半でクリエイティブの仕事を長くやってきた人間です。自分が責任をもってコンセプトを考えて制作物を作ってきました。何かを作り上げるためには、相応しいロジックが必要です。そして意味も大事になります。何のために作るのか、何を訴求したいのか。そう、軸を見つけることが重要になります。同じように人生もまた自分で責任を持ち、私はどう生きてゆきたいかという、自分の軸を見つけていく旅なのだと思います。自己決定力は、人生を自分らしく生きてゆくための自分の軸を見出す力になります。
自己決定力は、見極める力、割り切る力によって生みだされる
では、どのように鍛えていったらよいかをお話しようと思います。身近なところから取り組んでいきましょう。●家の片づけを考えてみましょう。どんどん片づけられる人もいますが、片づけられないというか、捨てられない人がけっこういます。例えば、自分の部屋が狭いので、山積みの本を何とか2分の1に減らすとします。どんな基準をもって何を残して何を捨てますか?自己決定力は、この見極めることから始まります。●今度はクローゼットの中を見回すと着ていない洋服がたくさんあります。例えばもうサイズが小さくなって着ない服、バーゲンで買ったけど一度も袖を通していない服など。自己決定力の割り切る力を使って3分の1にバッサリ減らさなければならないとき、あなたはどう選択基準を考えますか?もしかすると生活を維持する最低限の服に絞って、選択していくと決めるのかもしれません。最終的にあなたは何を残したのか。自分の価値観が見えてくると思います。自分は何を大切に思っている人間か片付ける前より、もっと自分の軸が分かっていると思いますよ。
自分の選択基準は人生を豊かにする
自分の基準を考えたことがない人は、自分を内省することが少なかったのかもしれません。ですからどう減らしたらよいか戸惑う場合が多いでしょう。でも人生は選択の連続です。自分にとって興味や価値あるものを 見極める目を持つために、自己決定力を鍛えてほしいです。これは、片づけの話だけではありません。小さなことの積み重ねの中で、自分の価値観が明確になっていきますし、だんだん判断力がついて軸がしっかりしていきます。自己決定力は、その集積した結果うまれます。人生のすべてに応用でき、気持ちよく自分の人生を歩んでいく大事な力になるでしょう。そう、それによって自己効力感も高まっていきます。
仕事での自己決定力をどう鍛えるか
期限が明日までに仕上げなければならない企画の仕事があったとしましょう。自分としては、十分考えた企画だけど、まだ自分の中に完成していない気持ちがあったとき、あなたはどうしますか。どうすべきか?どちらにしても自分で決める責任があります。
すべての仕事が、100点満点のレベルに仕上げられるかと言えば、私は自信がありません。芸術の世界では、生涯で一つの100点を大事にすることもあるのかもしれません。しかしビジネスの世界では、コンスタントに80点が生み出せる力が良いとされるでしょう。仕事での自己決定力は、期限の中で他者が何を求めているかの情報を集めて、吟味し、いろいろな案を考えて、方向性を定めて、これでやろうと自己決定して、他者に提案していく行動を言います。時として、失敗してしまうこともあると思います。その失敗の中に自分の課題があり、それは自分が学習する機会、成長できる機会を意味します。その経験によって、自己決定力はさらに変化成長していきます。
自分の考えを表明する勇気をもつ
最後に、「自己決定」した考えを他者に伝えるのは、とても勇気がいる行動ですね。なぜなら、相手に受け入れられないかもしれないから。そう思っていると「自分の考えを否定されたらどうしようか」、「こんなプランじゃダメだ。と言われるかもしれない」と、心の中で勝手に感情が動いてしまいます。そう、ちょっと面倒だし、わざわざ自分の考えを伝えなくても、相手の言う通りやればいいじゃないかという気持ちにもなります。ですが、自分らしく生きるには、前に進む勇気、相手に嫌われる勇気、誤る勇気、自分の考えを表明する勇気など勇気がいるのです。
他者と深く理解しあうためには、互いに自分の考えを表明することから始まるからです。今までみんな何気なく判断してきたことですが、そこには、自分の判断基準が裏で自動的に動いていたのです。どんな思考で行動してきたかを自分自身で意識して振り返る時間を持ちましょう。そして、自分の軸を見つける旅に出発しましょう。
自分の人生に責任を持つのは自分です。そして自分で決める自由があなたにはあります。豊かな人生を楽しむために、日々自己決定力を鍛えていきましょう。
私も同じ今を生きている一人として、あなたとともに日々努力して鍛えていきます。
ウィリアム・ジェームスの名言 アメリカの哲学者、心理学者
この人生は生きる価値があると言えるだろう。なぜなら、人生は自分で作るものであるからだ。