セルフエスティーム(自己肯定感)を高めるための新習慣㉗
こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。
セルフエスティーム(自己肯定感)を高めるためのエクササイズをお届けします。
ストレスから抜けだしたい―あなたのレジリエンスを高める方法
レジリエンス(resilience)という単語は、すでにご存じかもしれませんが、本来の意味は“変形されたものが元の形に戻る復元力や弾力性”という意味を持ちます。そこから、困難で脅威を与えるようなストレスフルな状況を経験したにも関わらず、うまく適応する過程や、能力、結果のことをレジリエンスというようになりました(Masten, Best, & Gramezy,1990)。
私たちの日常生活の中には、ストレスフルなことってけっこう多いですね。じつは、社会生活やライフイベントが変化することで、新たな環境に適応し直すことは、私たちにとってストレスになることが分かっています。
たとえば、ホームズの研究で、5000人以上の患者の発病に関連したライフイベントを収集して、日常のストレッサーを43項目選定し、それぞれ得点化した研究があります(Holmes & Rahe,1967)。
43項目のライフイベントを見ると、ストレッサー1位になったのが配偶者の死、2位は離婚でした。また仕事の再調整が15位、転職18位など、大きな環境変化や人間関係がストレスをもたらす要因になっています。
ストレスとは結びつかないと思える結婚であっても、7位と高く、夫婦の和解についても9位に。このように、私たちは、家族を失くすということは大きなストレスになりますが、家族を作っていくプロセスもまたストレスをもたらす要因になるということです。
ストレスは避けることが出来ないことというなら、どのように対処して、どのように回復し、良い状態をキープしていくかが課題になります。そこで、レジリエンスの出番です。困難で脅威を与えるようなストレスフルな状況を経験したにも関わらず、うまく適応する過程や、能力、結果を生みだせるレジリエンス。どのように私たちはレジリエンスを身につけて、強化していくのかを見ていくことにしましょう。
レジリエンスはどのように身につくのか
【回復】
人生の中で私たちは、困難な状況に直面したら、一時的に落ち込んだり、心身に何らかの問題が生じることもあります。かなり困難な状態から、歯をくいしばって耐えているうちに、少しずつ回復している自分に気づくこともあったはずです。このような経験からレジリエンスがついていきます。
精神的なことだけでなく身体も関係しています。たとえば、運動部に入ったとします。基礎体力がまだない時は、「グラウンド〇〇周走り込み!」と言われて、走れない人もいるし、ヘトヘトになりながらやっと出来た人、そして難なくできた人もいます。人の特性は人それぞれ。ですから、最初は出来なくても継続していく中で出来るようになり、自己成長を感じ取り、次の成長に向けて自ら活動するというサイクルで、レジリエンスが促進されます。
運動能力の高い低いにレジリエンスが関係するわけでなく、運動やスポーツを行う中で“自分の身体的な側面の変化に気づき、他者との比較でなく、自分自身に対して肯定的な評価を高めていくこと”が、レジリエンスを促進させる上で重要だと考えられています。
【崩れにくさ】
また、逆境状況でもストレスに陥らない力もレジリエンスと考えられます。
2001年のアメリカの同時多発テロの1か月後に、マンハッタンで行われた調査では、人口の約1割の人たちがPTSD症状などの症状を示していたのに対し、4割以上の人たちは、PTSDの症状をひとつも示さなかったことが報告されました(Galea et al.,2002)。この調査では、この4割の人たちのように、PTSDになってもおかしくないような衝撃的な出来事にさらされたとしても、精神的に崩れずに日常生活を過ごせる力が、レジリエンスとされています。
こうしたレジリエンスを示す人たちの共通した要因は、未来への期待を維持するための楽観性、出来事をリフレーミングするための認知的柔軟性、出来事のネガティブな影響を最小限に抑えたり、他者に助けを求めるためのコーピングスキル(ストレスへの対処法)、活動できるための身体的健康、孤独にならずサポートを得られるための社会的支援ネットワーク、利他的行動や人生の目的を持つことにもつながる道徳心、と言ったレジリエンス要因を持っていることが明らかにされています(Iacoviello & Charney,2014)。
やってみなくちゃ分からない、何とかなるだろうという前向きな姿勢、出来事に対しての前向きな解釈で捉え直せる、ストレスの対処法をいくつか持っている、自分が大事にしたいことが明確であるという3つのことって大事になりますね。
次回は、レジリエンスを高め、ストレスとうまく付き合う方法をお伝えします。