セルフエスティーム(自己肯定感)を高めるための新習慣㉖
こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。
セルフエスティーム(自己肯定感)を高めるためのエクササイズをお届けします。
前回は、、組織の「思い込み」とは。そして、それを打破するためのリーダーの心得にフォーカスしました。
今回は、アイデアを育てるプロセスで、リーダーが知っておくべき3つのポイントをお伝えします。
アイデアを育てるプロセスで、リーダーが知っておきたい3つのポイント
批判だけする部下から、アイデアを生みだして行動を起こす部下を育てるために大事なことは、次の3つです。
1.まずは、新たな選択肢を生みだす環境を生みだす:
ありえないとか、バカげているとか、実現できるか分からない、予算的に可能かどうかは考えなくても良いなど、自由に発言する場になるように、時として効果的に介入します。ここで出されたアイデアは、検証可能な仮説とみなすことができます。そうすることで、集められそうなデータや、現実にできそうな実験にはどういうものがあるか?と尋ねていくことで、次のアクションへとつながります。
2.リーダーは、問いかけの達人になる
自由に相手が話せるように、イエス・ノーで答えられない質問づくりが最も重要です。「どんなことが出来そうかな?」「どんな風に考えたの?」など、”How”を意識して問いかけると、相手は全体像をしっかりと話せるようになります。また、とかくリーダーの方たちを見ていると、誘導的質問になってしまう場面と出会うのですが、自分の思った方向に引き寄せたいがための誘導的質問は絶対に避けましょう。
3.リーダーのかかわる態度でアイデアが育つ
リーダーの態度は、最も難しく、そして重要です。リーダーとしては、ソクラテスの「無知の知」という考え方を基本にします。それは「自分がいかにわかっていないかを自覚せよ」ということです。つまり、すべて答えを知っているフリをしない、テーマに対して詳しくないことを自覚してかかわる態度です。表に出すのは「自信」ではなく「知的好奇心」を全開にします。チームメンバーとともに、それぞれのアイデアを互いに深く理解できるように運営して、議論のまとめ役になります。
リーダーは、人の心理をしっかりと理解をし、部下の知的好奇心や成長意欲を育む関わり方をする必要があります。
自由闊達にアイデアを出す事を妨げている3つの罠
とはいえ、アイデアを出すことに躊躇してしまうこともあります。ここでは、自由にアイデア出しをする事を妨げている3つの罠についてお話します。
1.人はやり直しが大嫌い。サンクコストの罠
これぞ!という一つのアイデアを生みだすと、それに対するネガティブフィードバックが受け容れられず、今までのアイデアに固執してしまうってことありますね。私がアートディレクターだったころ、チームで新製品プロモーションの社内プレゼンで、ひとりのデザイナーが、自分が良いと思ったアイデアに執着して、ボツになったそのデザインを手直しして再提出していたことを思い出しました。労力を注ぎ込んできたからなおさら、別の選択肢に目を向けることはできなくなるのですね。
その心理としては、自分が育てたアイデアをダメだと言われると、自分の中での矛盾――自分は良いと思ったのに、みんなはダメだという。そんなことあるの?――を抱えてしまうため、それを挽回しようと手直しすることで、次回は認められるかもという期待から、自分のアイデアに執着してしまうようです。自分の出したアイデアをきっぱり捨てることは、中々できないものです。 この罠に、はまらないように最初から複数の選択肢を生みだす力を育てることが良いですね。
2.自分の失敗は、不可抗力と思ってしまう、思い込み。
やり直しを拒むものには、サンクコストの罠だけでなく、セルフサービングバイアスと呼ぶ現象があります。成功した時には自分の中にある能力や努力によるものと思い、失敗した時には運の悪さや物事の困難さなど自分ではどうにもできないことが原因なのだと思う傾向のことを言います。例えば、コロナのせいでリモートワークになり、今まで通りの仕事のやり方が出来なくなってしまったので失敗したと、環境変化のせいにして、自分の失敗を無視してしまうということです。このままでは、その課題をどう乗り越えるかという学習や自ら成長する機会を逃してしまうことになります。 こうなってしまう前に、この計画を成功するためには、何をする必要がある?と問いかけることから始めます。私たちが分かっている前提を書き出して本当にそれでよいか確かめていくプロセスを育みましょう。
3.批判的フィードバックを言うヤツは、「わたしを嫌いなんだ」という、思い込み。
批判的なフィードバックを受けると身構えて話を聴くのを止めてしまう、または聴きたくないあまり、心の耳を塞いでしまうことがあります。そんな時はなおさら、自分が信じることの裏付けになる情報は必死に探し出し、自分の見解と違うデータは無視し、さらに批判した人と距離を置くようにしてしまうこともあるようです。
これについて、ポール・グリーン、フランチェスカ・ジノ、ブラッド・スターツの3人の研究者の調査結果があります。4年間の調査で正社員300人以上の4年分のパフォーマンス・データを調べたのです。それで分かったことは、同僚から悪いところを指摘するフィードバックをもらった場合、その同僚を自分の交流関係から外し、自分を肯定する同僚の数を増やすという傾向が見受けられました。そのような行動をした社員は、パフォーマンスが著しく低下したという代償が伴ったというものでした。
嫌いだから批判的フィードバックを言っているわけではないと相手が認識できるように丁寧に対話します。そんなことは分かっていると言うかもしれませんが、人間はそう簡単な動物でもありません。批判されるとネガティブ感情が動いてしまうのです。リーダー自身も批判的フィードバックをもらったなら、その相手を遠ざけるようではいけませんね。
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いかがでしたか。今回のお伝えしたことを根気よく実践していただけたらうれしいです。きっとあなた自身も、そしてあなたのチームの自己効力感も向上することでしょう。アイデアを育てるプロセスは、幸せのプロセスでもあります。未来を生みだすプロセスは、苦しいですが、ワクワクとたのしいものでもありますね。