人生で一番めんどうな人間関係。もっと楽にしたいのに・・・。そう思っているあなたへ。

新しい職場だったり、新婚生活だったり、新社会人だったりと、新たな環境は、私たちにストレスをもたらします。特に人間関係は、私たちにとってある意味、煩わしいものです。でも、うまく関係を築きたい、受け入れてほしい、コミュニティの一員になりたいなど、居心地の良い環境を築こうと思いますね。

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。 

新しい環境に自分が慣れるには? あるいは自分を受け入れてもらうには、どうすればよいのか。下手な失敗はしたくないなど、あなたの頭の中で、「どうすればいいの~」と、心の声が聞こえているかもしれません。

慣れた仕事なら、ササッとできますよね。でも、新たな部署でそれも初めての仕事は、相手とのコミュニケーションもままならないため、ストレスを感じながら日々を歩みがちです。

職場の人間関係が・・・、面倒くさい!

新しい環境に適応するために、相手との関係をうまく築いていきたいわけです。

でも、いままでと同じやり方で、うまく関係性が築けない場合は、焦りが湧いちゃうことも多いもの。ゼロから人間関係を築くために、自分なりに試みてもうまくいかないと、仕事だけでも疲れるのに、「あー面倒くさい!」と思わず声に出そうになることもあるでしょう。

人間関係を楽にするなんて無理!と思わないで。そして、面倒くさい!って、諦めないでください。

じつは人間関係を良くするには、自分自身を知ることから始めていくのが早道です。それには、まず、あなたの脳の働き―メカニズム―を理解していきましょう。

人間関係がうまくいったら怖いものなし、そのメカニズムは「脳」にある

人間関係を築くことは、生活していくためにも、うまく機能させたいですね。脳のメカニズムを知ることで、あなたは「自己成長する仕組み」を理解する大きな手掛かりを得ることになります

習慣になったら、あなたの脳はお休み中!

じつは、私たちの意思決定の95%は、自動的に行われていると言われています。確かに、毎朝のルーティンを考えてみてください。「朝、目覚まし時計が鳴ったら、スイッチを切る、眠いけど起きあがり、コーヒーメーカーのスイッチを入れて、マグにコーヒーを注ぎ、ハンガーにかかっている服に着替えて、決まった時間に家を出る。」

このように、一つひとつは、いちいち考えなくても脳からの自動操縦によって行動が促されています。だからこのプロセスは、あなたにとって、とてもラクな領域といえます。でもこれを繰り返すだけでは、進歩はありません。タイパのために、脳がやってくれているだけのことですから。

習慣になったことも、最初は、何をしたらよいか考えながら行動を起こしていたはずです。それをやり続けていくと、段取りを考えながら、無駄をなくし徐々に習慣になってくるので、いちいち考えずに自動的に意思決定できるようになります。経験の中で脳が学んできたことで、素早く行動が起こせるようになるのです。

これは、ダニエル・カーネマンが提唱した意思決定メカニズムの、システム1(速い思考)と、システム2(遅い思考)に該当します。システム1は、素早い行動つまり自動的に行動することです。習慣となった行動は、速い思考で意思決定しています。ですから、ほとんどの人は意思決定の90~95%をこの速い思考で行っていると言われています。

私たちの脳は、「一目でわかるものに快感を覚え、簡単に処理できる楽なこと」を好むようです。

ですから、脳は「いままでの習慣を変えること」は、面倒と感じちゃうわけです。でも、楽な世界が良いといって、考えることを止めてしまったら、人間でなく、ただの人形になってしまいます。自分という存在に蓋をして、クリティカル―客観的、俯瞰的―なものの捉え方を無くしてしまうことになりますね。

人間関係を新たに築くには、「脳」のシステム2の力が必要!

新しいことに取り組もうと思った時、脳の遅い思考が起きだします。それが、システム2の遅い思考、理性的思考です頭の中の独り言―セルフ・トーク―を発しているのは、この遅い思考です。しっかり考えて思考する。時間がかかるし、意思決定するには、選択肢を出して、どれが正しい答えだろうかと考えて意思決定をしなければならない。だから、ヒトはじっくり考えて意思決定する時、「あ~、面倒くさい!」という「こころの声」を聞いたことが一回や二回はあるはずですね。

でも、このシステム2の―遅い思考―考察するプロセスは、自己成長の切り札になります。成功するにしろ、失敗するにしろ、そこで学習した経験が、意思決定力を上げていく要素になります。

「脳」を動機づけるのは、あなたの役割

人間である私たちは、自己成長する喜びを持つことができます。新たなことにチャレンジする時、あきらめずにじっくりと「自分で考え行動しよう」と動機づけていくことが、あなた自身の役割です。

よくある相談。職場の人間関係が悪いから転職する

たとえば、「いまの職場の人間関係が悪いから、環境を変えたい」と、転職したいと相談する人も多いです。

どんな環境に身を置きたいのでしょうか? 分の関係性構築力が低いと、転職しても同じことの繰り返しになるのです。大事なことは、自分の関係性構築力を高めていけば、乗り越えていける力が養えます。その力によって、新しい職場関係の中で、自分の殻から脱皮しようとする勇気が湧いてくるはずです。

人間関係をうまくやっていく方法を考えてみましょうまず自分を知ることから

関係性構築力を養うために、新しい習慣を身につけるわけですから、遅い思考を働かさなければなりません。自分を知ることで、自分が望む関係性の築き方を知り、行動しやすくなるでしょう。一気にやり遂げるというよりは、自分の行動を積み上げていくという方法でやりましょう。

あなたは、職場での人間関係ってどんなスタイルが良いと思っていますか?

関係性の築き方は、人それぞれ違いがあります。広く浅く関係性を広げていきたい人もいれば、人づきあいは苦手だから狭く深い関係性を持ちたい人もいますね。あなたはどういう関係性をイメージしていますか? 漠然と、みんなから、良い人と思われたい。みんなから、嫌われたくない。みんなから、馬鹿にされたくないなどあるかもしれません。でも、「みんなから~、すべての人から~」というフレーズはありえないことなので、手放しましょう。すべての人から好かれることもないし、すべての人から嫌われることもありません。

あなたが望む「他者との関係性」は、どうありたいのかが大事

以前私のブログでは、あなたが好きな人・あなたが嫌いな人・どちらでもない人の3区分を紹介しました。そう考えると、ほとんどの人は、どちらでもない人に区分されるので、周りの人に意識を使う必要がなくなりラクになるのです。あなたは他者と、どんな関係性で区分していますか? 

仕事の場は、あなたの仕事がしやすい関係性を考える

たとえば私の場合、職場の人間関係は、どちらかと言えばやや狭くやや深いほうだったと思います。振り返ってみると、自分にとって、信頼を築けるかどうかを大事にしていたように思います。つまり、大きく分けると、信頼できる関係性が築ける人・信用できそうな人・信用できなそうな人・どちらでもない人の4つに区分していたようです。自分にとって仕事がしやすい環境での関係性という視点も大事にしていくと良いと思います。

自分らしさを大切に関係性をつくる

新しい職場は、「分からない人だらけ」ですから、仕事を一緒にする中で、どんな人か観察していく。

でも、相手にとっても、あなたは「分からない人」ということも、忘れないでください。お互いにまだ分かっていないだけ。

よく分からない人たち―<他者>―が、あなたを「安心できる人」だと認知できるかどうかがポイントです。そう、第一印象が大事になります。

相手にとって、何を考えているのか分からない人は、近づきにくいし恐く感じるものです。私たちには、認知バイアスがあります。ヒトは、とにかく確実で安心できることが好きです。たとえば、あなただったらどんな人を「安心できそうな人」と思いますか。

たとえば、いつも笑顔であいさつする人、相手にわかりやすく話す人には、好感をもつのではないでしょうか。そして、仕事なら約束を守って仕事をする人のほうが好感を持つと思います。それと大事なのが、相手を受容する態度、話を聴く態度―共感的理解―をもつこと。

相手を尊重しているから「あいさつする」のです。相手に興味・関心があるから「うなずきながら、しっかりと話を聴く」のです。まずここから、4つのポイントを3週間やってみることをお勧めします。

相手にとって「安心できる人になる」ための4つのポイント

  • 笑顔であいさつする
  • 話を聴く態度―共感的理解―をもつ
  • わかりやすく考えを伝える
  • 約束を守る

小さな成功を積み上げていくと、人間関係が楽になる

4つのポイントを意識してかかわっていく中で、あなたにとっての大事な人を見つけられるとよいですね。ヒトは、このように目標(4つのポイント)を定めると、その達成に向けて自己効力が高まります。そして、目標に向けて行動が正しくできていると、さらに向上していきたいと行動を継続していきます。

目的は、たとえばあなたにとっての仕事がしやすい環境づくりであり、信頼関係が築ける仲間たち、安心できる人たちを見出すことかもしれません。

小さな関係性が機能したら、怖いものなし。

成し遂げたことが増えていくと、ヒトはその行動をさらに広げて続けようとします。 

伸びしろは無限です。

日々自己効力を高めて、コツコツと積み重ねながら、一緒に自己成長していきましょうね。自己成長はエンドレス!!

<参考文献:『勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門』エヴァ・ファン・デン・ブルック&ティム・デン・ハイヤー著 児島 修訳 ダイヤモンド社 2023>