セルフエスティーム(自己肯定感)を高めるための新習㉔

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。
セルフエスティーム(自己肯定感)を高めるためのエクササイズをお届けします。

あきらめないで!あなたの職場は「心理的安全性」で生まれ変わる

社会で暮らす私たちは、日々多くの人たちとかかわり、共に時間を分ちあっています。他者とのかかわりは、緊張感を伴うこともあれば、穏やかな癒しの時間になることもあります。

職場での人間関係がギスギスしてしまうことや、1人の意見に振り回され他の人が意見できなかったり、上司に自分の考えが言えなかったり、そもそも聞いてくれる環境がなかったりしているかもしれません。
もし、そのような環境で働いているとしたら、チームの力は委縮していますし、共有感もなくただ一人ひとりが孤立した環境で仕事をしている、孤独な職場と感じることでしょう。

「この人たちといると安心できる」「この仲間だと自分の意見を言える」「このチームだとやる気が湧いてくる」など、緊張感なく、チームで率直に話し合える場が、あなたの職場にあったら、毎日楽しくなるはずです。
集団の中で、恐怖や不安を感じることなく発言・行動することができる状態――心理的に安心安全な場――を心理学では「心理的安全性(psychological safety) 」と表現しました。

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他者があなたを とりあえず信じてみようと思ってくれる場

心理的安全性とは、「例えば、あなたが職場で支援を求めたり、過ちを認めたり、失敗したときに、職場にいる他者があなたをとりあえず信じてみようと思ってくれる心理的な場」ということです。
この「とりあえず」とは、相手をまずは信じて受け容れるということです。


「あなたをまずは信じてみよう」と思ってくれる仲間がいて、あなた自身も「仲間をまずは信じてみよう」と思っている場です。そのような職場だったら、こころが安心安全な場所と感じて、自分らしく率直に話せるようになりそうですね。


“ダイバーシティや、インクルージョン、自分らしさを活かせる組織が、新たなものを生みだす“と言われています。それは、多様な人たちが共通の目標に向かって、自分の持ち味を生かし、それぞれの考えを出し合って、達成に向けて協力することで、今までにない新たなものが生まれると考えられているからです。その土台になるのが、じつは心理的安全性であり、これ無しには、これからの組織は成り立たちません。私自身もD&I推進活動の経験の中から、その重要性を認識しています。


チームに対して「心理的に安心安全な場を生みだす」のはリーダーの役割であり、そのためにはリーダーシップが必要である、と言われます。たしかにその通りですが、リーダーだけに任せているのでは、時代に取り残されてしまいます。リーダーシップは、チームの一人ひとりが主体的に発揮できる可能性を持っているし、心理的に安心安全な場を自ら生みだせると、私は思っているのです。
自分が携わる仕事は、のびのびとやりがいをもってできるようにしたいものです。上司のために仕事をしているのではなく、かかわっている仲間(上司を含む)と切磋琢磨しながら、見えない未来に向かって頑張りたいと思いませんか。


もし、あなたの所属する職場で心理的安全性が低いと感じるのなら、職場の空気を換えるところからはじめましょう。心理的安全性を確保するためには、率直に発言したり、気がかりなことや疑問やアイディアを話したりするときの対人関係リスクを、あなたが安心してできる環境に変えていくということになります。心理的安全性は、最終的にはあなたのため、チーム全員のために作っていくものです。

心理的安全性の土台作りの2つのポイント

エイミー・C・エドモンドソン著『恐れない組織』の中でリーダーシップを、当たり前にはできない行為――①率直に話す、②賢くリスクをとる、③様々な意見を受け容れる、④きわめてチャレンジングな問題を解決する――に、人と組織が真摯に取り組めるようにする力と述べています。
そこで、私たちが心理的安全性を生みだすために行動できることを2つ選びました。様々な人の意見を受け容れると、人に自分の考えを率直に話すことです。
 
① 様々な人の意見を受け容れる

率直な意見を言うことは重要ですが、意見を言うためには、他者の意見をしっかりと聴いた上でなければ、率直に言うこともできません。心理的安全性を築くのに重要なことは、上司であれ同僚であれ、他者の意見や考えを聴くことから環境の土台作りが始まります。


環境の土台づくりは、傾聴することで相手が本当に思っている意見や考えが語れる場を築くことです。そして、その他者の考えを自分事としてまずは受け容れることが大事ですね。


でも、受け容れるとは、相手の考えに同調するということではありません。相手の考えていることをそのまま受け取る。つまり「(あなたは)そう考えているのですね」と否定も肯定もせずに真摯に聴くことです。
さまざまな人の意見を受け容れることから、新たな気づきがうまれ、新たなものを生みだすきっかけが生まれますし、分からないことは質問していくことで相互理解が深まります。このように話を聴くと、相手は話を聴いてくれる人を好意的に受け容れます。そして安心安全な相手とあなたを受け容れていくでしょう。


聴き方は、今まで通り+アルファで聴いていきます。アルファとは、まず相手に聴いていると分かるように表情や態度で表現するのです。相手の話に好意的関心をもって熱心に聴いていきます。


相手の話を真剣に聴くというのは、相手への敬意も表しています。あなたが相手に関心をもっているという態度で、たとえば“いつでもあなたを支援する”ことを示す言葉「どんなことが気になっているのですか?」と訊くのです。あなたの言葉によって、「安心して話してよいのだ」という安全性を感じ取ったら、相手は自分の言葉で話し始めるはずです。

②率直に話す

率直に話すことが重要であるとは言うものの、私たちは「失敗したくない自分」がいますし、「他者からバカにされるのでは」という思いも浮かび、「こんなことを言ってできなかったら格好が悪い」と思ってしまいアイディアを言わず沈黙してしまうわけです。
でも、この時代、答えをすべて持つ人などいるはずがないのです。それが現実です。 分からなくて当たりまえ! だから、チームで率直に言える場が、新たな気づきを生む可能性があるのです。例えば、「申し訳ありません、何が問題なのか、教えてくれますか?」と、もっと知るために問いかけることから始めることもできますね。
目指す方向が明確だと、チームでの共有感が生まれます。中立的で自由に、そして率直にどうしたら目指せるかをみんなで話せるようになったなら、そこには心理的に安心安全な場が生まれていると言えるでしょう。

終わりに

心理的安全性によって、あなたは、より気持ちよくやりがいを持って働き、チームに貢献しています。そして、チームは多様性を活かし多くの考えを取り入れ、共通の目標達成に向け、あらゆる角度からの視点をもって、課題を乗り切っています。
心理的安全性は、これからのビジネスシーンで重要になると思います。でも、それを実行する方法は、一人ひとりとのコミュニケーションからしか変えられません。
あきらめずに、やりましょう。安心安全な場を生みだすのは、そう簡単ではないかもしれません、が。一歩踏み出せば、昨日とは違っています。自分の力を信じで行動しましょう。