「自分の人生をどの程度“自由”に動かすことができると思いますか?」

「あなたは、自分の人生をどの程度自由に動かすことができると思いますか。」これは世界価値観調査*が行っている質問項目です。分かりやすく言えば、人生を自分の考え通りに自由に選択できるかということです。

いろいろな答えが浮かびます。たとえば、家族を守るには、今の会社で働かないといけないから、自由に動かせるかどうか問われても、わからない。やりたいことはあるけど、辞めた後を考えると自由にとはいかない・・・。一度きりの人生、仕事だけじゃなく自分の時間をもっと取りたい・・・など、あなたの人生に関する価値観で答えはおのずと変化しますね。

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。 

さて、この世界価値観調査は、世界のおよそ100ヵ国に暮らす個人の価値観を5年ごとに収集し調査しています。 

私たちは、自分の人生をどのくらい自分で自由に動かして生きているのでしょうか。自分の余暇を犠牲にして、仕事を優先させてきた団塊の世代が引退し、団塊ジュニアが中年になった今、次の世代は人生をどのように選択していくのか。

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今回はこの世界価値観調査の2019年版<日本の時系列分析レポート>の実証データから、人生の自由度への意識変化と、仕事よりも余暇が重要という意識変化を読み解きます。そのうえで10年後の私たちの“人生の価値観”を一緒に考えてみたいと思います。

今回の調査で見えてきた日本人の意識:

1.「人生は思い通りになる」という意識が増加。

2.「働くことがあまり大切でなくなる」ことは“良い”という意識が上昇。

3.「仕事」よりも「余暇時間」が重要。「働くこと」の優先順位が低下。

これらについてのデータを読み解きながら、あなたの将来の人生についても考えるきっかけにしていただけたらと思います。

1.「人生は思い通りになるか」に対して「自由になる」が増加した。

「人生は思い通り(自由)になるか」については、2010年から9年の間で「人生は自由になる」という日本人の回答が8ポイント増加し、58.4%になった。今よりも自由な人生を送りたいという願いがあるのだろう。

しかし、世界77か国のデータの中で、日本は72位。「人生は自由になる」という世界ランキング10位以上にスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、メキシコ、韓国などが上がる。

逆に言えば、日本は「人生は自由にならない」という意識がまだまだ高いわけで、そのランキングでは世界6位となっている。 

ただし、日本人の年代別の比較では、若い世代(18~29歳)ほど「人生を自由に動かせる程度」について、「自由になる」と回答。今後「人生は思い通りになる」が増えることが予測できる。 

このような結果から、若い世代の仕事観は、同じ会社に勤め続けるというよりも、自分の求める世界に行きつくために転職しながら働き続ける可能性が見えてくる。この場合、何のために働くのか、どんな自由を手に入れたいのかを明確にしながら、行動することが重要になるだろう。

2.「働くことがあまり大切でなくなる」ことは“良い”という意識が上昇した。

「働くことがあまり大切でなくなる」という設問に、9年前は”良いこと”という意識が、5.4%だったが、今回は5ポイント程度増加した。世界全体は、”良いこと”という意識はさらに高く、世界77か国中10位以上では、アイスランド、スイス、ドイツ、インドネシアなど。一方日本は、74位と低い。

ただ、日本人の年代別のデータから見ると、“良いこと”という日本人全体の意識は10%だが、18歳以上では24.1%、30歳以上で25.8%と年代が低くなると高い。

彼らは、2008年から始まったリーマンショックなどの金融経済危機や震災などの悲惨な経済の末路を見て成長してきた世代だ。彼らの意識は、彼らの親を見て、懸命に働いても何が起こるかわからない、築いた生活が楽になるとは限らないという実体験から、いままで働くことは大切とされ信じてきた価値観が揺らぎ、働くことはあまり大切ではないのではと、思えてきたのではないだろうか。

3.「仕事」よりも「余暇時間」が重要。「働くこと」の優先順位が低下した。

上記の「働くことがあまり大切でなくなる」という方向にシフトしたことと同様に、生活における重要度として、「家族」、「友人・知人」、「仕事」、「余暇時間」の4つの重要度に順位をつけるもの。今までは「家族」が最も高く、次いで、「友人・知人」、「仕事」、余暇時間」だった。今回の結果では、「仕事」と「余暇時間」が逆転した。「仕事」は80.0%、「余暇時間」は90.3%と「余暇時間」が重要という結果になった。

この結果から、「働くこと」や「仕事」を優先させてきた日本人が、前回調査から9年の間に、一人ひとりが、「自分にとっての人生とは何か」を考えるきっかけになったとも考えられる。人生の意味や人生の目的を漠然とではあっても内省した結果が、「自分の人生にとって、大事な自由時間」として余暇時間の数値に表れたのではないかと思われる。

次の調査結果は5年後の2025年ごろになるだろう。その調査で私たちの価値観はまた変化しているように思う。なぜなら、私たちはコロナ禍を経験してきた。2030年は、さらにどうなっているのだろうか。人生をどう生きているだろうか。

10年後の世界で自由に生きるために・・・。

「自分の人生をより思い通りにする」ためには「今、あなたは自由に生きているか?」と、“自分に問いかけること”を大切にする。

そうしなければ、ヒトは、ただ漫然と日々を生きてしまうから。小さい時、童話の “アリとキリギリス”は、キリギリス(遊ぶ)よりも、アリ(勤勉)が良いと教わった記憶があります。でも、今はアリだけを優先するのではなく、キリギリスの価値観も大事にして生きる。

「生きるために稼ぐ」という目的のほかに、心のよりどころを掴む。自分の興味、役立ち感、自分のノビシロを見つけるために。「自分の人生をどう生きたいのか」と、“自分に問いかけて自分と対話すること”を大切にする。

「幸せな人生を見つける」ために、これからは、人生を豊かに仕事も遊びも楽しむ、進化系の“アリギリス”に生まれ変わっていくといいですね。

10年後の世界で、人生を豊かに楽しむ(自由)時間をどう使うか?  私たちは余暇時間をどう使おうとしているのか。どれだけの時間を余暇に使いたいのか。

そもそも余暇とは何か?

余暇の定義は、辞書によると、「仕事を離れて、自分勝手に使える時間。」だそうです。現在多くの人たちは、余暇を旅行や映画や美術館に行くこと、ゆっくりと過ごすなどに使っています。一方で、定年後どう自由時間を使えばよいかが、わからない人も多いですね。

私自身は、昭和世代のせいか、どちらかといえば 忙しく、家庭、仕事と生きてきたように思います。

でも、できれば生活にゆとりがあって、仕事より余暇時間が多くなったらいいなとは思っていました。今は、人生の後半でもあるので、仕事は少なくし、脳を鍛える、体を鍛える、心を癒すなど、余暇も増やして理想の環境に近づけてきました。

しかし余暇時間については、まだまだ具体的にプランを考えていなかったですね。(もうちょっと早くから考えておけばよかった~。余暇は、元気なうちにしっかりと考える大事なものなんですね。)

余暇は、確かに重要な人生の価値観です。ざっくりと“人生でやりたいことリスト”を作ってみるのも良いかもしれませんね。 

たとえば、世界のお祭りを見て歩く。これからの人たちのために何か支援組織を作りたいなど。こうなっていたい。こんなことができたらということを考えてもよいと思うのです。

ちょっとでも、「やってみたい!」と思っていること、思い立ったことを書き出す。とにかく書いてみる。

ちょっと楽しくなりますよ。幸せ目標ですものね。

それから、没頭できること、集中できることがいいですね。続けながら自己探索できるような趣味を持つことも大切なように思います。でも、ついやってしまうのが、SNSなど気晴らしや時間つぶしをしてしまう。自由時間を無駄にしてしまうのは、もったいない。

掘り下げていくうちに、あなたが「やりたいこと」「やりたくないこと」も自分に問いかけることでより明確になっていくでしょう。

いろいろ考えてお金がかかるから、結局、夢だと諦めそうになるかもしれません。でも、何が起こるかわからない未来は、あなたの目標によって、行動することで自然と道が切り開かれることもあります。

やりたいことは、あなたの生きるエネルギーになります。今からじっくりとやりたいことリストを考えて、その準備に取り掛かっていくと、どんどん道が開けていくはずです。

わたしも、10年後のやりたいことを今から考えて、できることからやっていこうと思います。「やってみたいこと」あたりから、探っていこうかな。

参考資料:*「世界価値観調査」は、1981年の初回調査以降、約100の国と地域において、同一の調査票にもとづき、個人を対象とした価値観に関する調査を継続しており、今回の調査は7回目となる。

参考文献:<「世界価値観調査*」の日本における調査(2019年9月実査)から得られたデータを分析して取りまとめたものです。電通総研と同志社大学が共同して、世界価値観調査1990-2019年日本時系列分析レポート「人々の価値観変容と”クオリティ・オブ・ソサエティの行方2020.3」><土岐智賀子、畠山洋輔、李秀眞、松田典子、見田朱子、佐藤慶一、田辺俊介、寺地幹人、豊田義博、山崎聖子 「World Value Survey(世界価値観調査)を用いた実証研究:労働・幸福・リスク」 SSJDA-40 March 2009>