セルフエスティーム(自己肯定感)を高めるための新習慣⑨

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。

セルフエスティーム(自己肯定感)を高めるためのエクササイズをお届けします。

●「いやなことは忘れよう」と意識するほど 脳は「それを覚える」。

過去の嫌な出来事に囚われているあなたのセルフエスティームは、低空飛行を維持してしまうのです。過去のできていない自分のことは忘れるんだ!と思っても、決して脳は忘れることはできないのです。そして完璧で、完全無欠の自分なんてありえません。できている自分も、できていない自分も、その丸ごとがありのままのあなたなのですから。忘れることを止めて、自己理解を深めることで、いやな過去を自ら完結していけます。 

●シロクマ実験で分かったこと

じつは、いやな過去を心から忘れようと努力しても、どうしても忘れられなくなるのです。「何かを考えないように努力すればするほど、かえってそのことが頭から離れなくなる」という現象を説明した、ダニエル・ウェグナーの「シロクマの実験」と呼ばれる研究があります(1987 D.Wegner)。

シロクマの1日を追ったドキュメンタリー映像を3グループに見てもらい、その後3グループにそれぞれ異なる指示を出しました。Aグループには、「シロクマのことを覚えておいてください」と言い、Bグループには、「シロクマのことを考えても考えなくてもいいです」と言い、Cグループには、「シロクマのことだけは絶対に考えないでください」と言いました。その後一定時間が経った後、彼らに映像について覚えているかを尋ねたところ、最も映像について詳しく覚えていたグループは「絶対に考えないでください」と言われたCグループだったのです。

なぜ、そんな結果になったのか。「シロクマを絶対考えない」ように、自分でコントロールしなければならなくなると、自分が「シロクマのことを考えていないか」を脳がチェックしなくてはいけなくなります。「シロクマのことを考えていないか」をチェックするには、常にシロクマのことを意識しなくてはなりません。考えないでおこうという意識が、逆に考えさせてしまうというわけです。

●囚われを手放す【If-thenプランニング】 

過去の嫌な経験は忘れようと思っても、忘れることはできません。その囚われを手放すこと(完結)で、忘れることができるのです。過去を完結するには、過去をありのままに振り返ります。振り返るときに大事なことは、あなたの過去の経験は失敗なのではなく、あなたがその時できた最善の行動をしているということです。でも今のあなたが、その時を客観的に見ると、その時どう行動したら良かったのか見えてくるでしょう。客観視することで、あなたの「ありたかった姿」が見えてきます。そして、次に同じことが起きたら、「こんな風に行動しよう!」「こうしたら良いのだ!」と、事前にどう行動したいかを自分で決めていけば、あなたの「ありたい姿」が表現でき、ありのままの (自己決定している) 自分がスタートします。

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【If-thenプランニング】とは、事前に「もし、~なりそうになったら、こう行動する」と、はっきりと具体的に行動を決めておくというものです。 

●例1)やることの多さに圧倒されて投げ出してしまった経験があるのなら

【if】 もし、やるべきことが多すぎてパニックになってしまいそうになったら

【then】 心の中で「大丈夫!他者が何と言おうとも、わたしは私。一つ一つ片付ければ必ず終わる」とつぶやくと決めておく。

●例2)約束が守れないで罪悪感を持ってしまうことが度々あるとしたら

【if】もし、安請け合いしそうになったら

【then】心の中で「自分のスケジュール帳を確認してから答える」とつぶやくと決めておきます。

自分がこころの中でしっかりとつぶやくことで、いつもの行動(自動思考:いつもやってしまう自分の行動)を止めて、冷静に最後まであきらめずに自分で行動できるようにするというものです。過去の経験を客観視することで、同じことが起こったときに、その時どう行動するか具体的に決めておくことがとても大事なのです。これを続けることで、嫌なことを忘れるのではなく、過去の苦い経験をもとに自分をコントロールできるようになっていきます。

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私たちは、誰もが完全ではなく、不完全な生き物だと受け入れておきましょう。そのように考えると、お互いに、できることも、できないこともあると理解できます。それぞれの良いところを見ていくことができますし、相手を尊重できるようにもなります。私たちは、経験を通して成長していく生き物でもあります。過去を振り返ることで、どんな行動を自分はしたかったのかを理解できるようになります。自分らしさがそこに表現されていきます。日々新たな経験をしている私たちですが、どう日々を克服して成長するか、どんな創意工夫で乗り切っていくか。未来にいる「ありたい自分」と出会うのが楽しみになりますね。