落ち込みから回復するには、“自分を慈しむ”3つのステップが大事なワケ。

目標をもって懸命に生きているのに、人生がうまくいかない。慰めてもらっても、気持ちは楽にならないし、みじめになるだけ。良いところなんて何もないと無力感に打ちひしがれることがありますね。

そんな思いをこころに閉じ込めて、生きている人が多くなったように思います。

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。 

コロナ禍で、自分自身のことで精いっぱいだと、社会に意識を広げることはなかなかできません。環境に振り回されて、自分の人生の歯車が思うように回らない日々が続くと、もう努力の限界だと感じてしまうことがあります。

環境を責めても、相手に怒りをぶつけても、何も変わらないことに薄々気づいているあなた。でもどうしたら良いか悩んでいるあなたへ。

誰があなたをケアしてくれるのでしょうか?

人からポジティブな言葉をかけられても、受け入れられないこともあるし、自分のこころはハッピーにならなかったという経験もあるでしょう。そう、慰めてもらったからといって、心はなかなか癒されません。

じつは、あなたをケアするのは、まずあなた自身です。

自分を慈しむことが心を豊かにしてくれます。

自分を慈しむこと(self-compassion)が不足しているのです。 

目標に向かって一生懸命努力しても、失敗して傷ついた後に、自分を追い込んだり、自己否定したりと、自分自身を傷つけてしまう。結局、心はズタズタになって動けなくなることがあります。

そんな時、親友が「よく頑張ったね、次があるよ」と言ってくれる、「これをやり切ったんだもの、大したものだよ」と自分をわかってくれる人からの言葉で、前に向かっていくことができます。

私たちは、無条件の愛情を持った人から優しさを受け取ることで、本当の自分の力に気づき、ベストな状態を取り戻すことができます。

でも、自分自身が無条件の愛情を自分に向けることで、同じことが達成できます。「自分を慈しむこと」は、人生を生きる上でとても大事なことです。 

そういう私もじつは、“自分を慈しむことーセルフ・コンパッションー落ち込みから回復する力”をはっきり認識しないまま、今まで生きてきたようです。“自分を慈しむ”には、3つのステップが必要でした。

私の経験を振り返りながら、この3つのステップを自覚し、かつその重要性と必要性を理解することができたのです。私の経験を例にとって、3つのステップでどのように落ち込みから回復できるのかを解説しようと思います。

自分を慈しむプロセスは3つのステップ。

私の幼少から19歳くらいまで、殻に閉じこもることが多かったです。それは「なんで、どうして!」と受け入れられない気持ちを抱えていたからだと思います。誰にも相談することができなかった。この自分の環境に憤りを感じて、ここから逃げようにも逃げられない自分の力のなさに、いら立っていたわけです。でも、そんな気持ちを周りには見せられず、無理に明るく振舞っていましたね。そんなアンバランスな感情のサイクルの中で、もがきながら日々生活していました。

Step1“受け容れる”プロセス

ネガティブなサイクルの中、デザインの仕事に就き、なんとかしようと思っても、来る日も来る日も同じことを繰り返している自分。ただ時間が過ぎていき、エネルギーを消耗してしまうだけだった。

現実を忘れるために懸命に仕事に打ち込んで、体を壊してしまい入院生活をした時期があった。過労だった。療養する中で体調が少し戻ってからは、ベットでぼ~っとしているだけの日々。最初は、世の中のスピードに取り残されるような焦りがあったように思う。

そんなある時「過去を引きずったまま、現実から逃げていたら何も変わらない。ありのままに受け容れるしかない」と、ふと心の声が聞こえた。たしかにそうだなと思えた時、自分の怒りや不安がありのままに受け容れられるようになって、心が少し軽くなり、自分自身に「そう感じていいんだよ」と自分を解放することができたのだった。

Step2“苦難はみんなも経験している”と気づくプロセス

自分を受け容れてからも入院生活が続いていた。周りの人たちに意識が向くようになってからは、観察の日々になった。今まで自分の内側の世界で生きてきた私にとって、周りの入院している人たちを観察すると、私と同じように失敗や苦労している人はたくさんいるのだということに気づくことができた。私だけじゃないのだと思えたら、勇気が湧いてきたことを思いだす。

そんな生活の中で、みんなも頑張っているのだから、「今できることは何だろう」と考えてゆくことが重要だと思えるようになった。起きてしまったことを悩むのは時間の無駄。これからできることを考える時間は無駄にはならないはず。今よりちょっと良くなるには。自分は何ができるだろうと考えるようになっていった。

Step3“自分を励ます”プロセス

数か月の入院生活が終わり、社会復帰してみると、世の中は思っていたほど変化していなかった。そして私は、周りの人たちが同じように失敗や苦労して生きている同士だという視点を持てるようになっていた。ぼ~っと時間を過ごした入院生活は、しんどいこともあったが、私に休息を与えてくれた時間と思えば、私にとって心を癒し、そして社会を理解する大事な時間だったと思う。

「一生、自立して生きてゆく」ためにどうするかを考えながら、仕事を開始した。まだ、女性が働き続けるには、周りの理解が得られにくい時代背景の中、仕事に打ち込んでいた。私は、会社から信頼を得るために、背伸びしながら仕事に取り組んでいたと思う。仕事へのプレッシャーが、否応なく大きなものになっていた。

仕事の失敗は、「やっぱり女だから」と言われたくない、「失敗したら次が無くなるかも」という不安がつきまとっていたが、この現実も受け容れて行動できるようになっていた。

やったことのない経験は、出来るかできないかなんて、誰だってわからないのだとある意味開き直ることもできる自分。自分を成長させるには、やってみるしかない。「ダメ元」なのだ。「今まで、できてきたのだから、こんどもきっと乗り越えられるよ」と自分自身を励ます私がいた。

そうしていくうちに、頑張っている自分を認めることが少しできるようになり「よく頑張ってきたよ」「失敗は自分を成長させる大事な出来事だ。失敗を学びとして前に向かっていこう」と自分に語りかける言葉が心に浮かんでいく。失敗しても良い経験だと思えるようになっていった。

経験は、自分の未来を切り開く学習

落ち込みから回復する力をつけましょう。

自分を慈しむ(セルフ・コンパッション)プロセスの3つのステップはお判りいただけましたか。

1現実を受け容れる、2苦難はみんなも経験している、3自分を励ます。文章に書いてしまえば、なんてことはないのですが、実際にできるかと言えば、そう易々とはできませんね。私自身もずいぶん長い時間がかかりました。最初の“現実を受け容れる”について、下記のワークをご紹介します。

自分を慈しむワーク

ここでは、step1について考えてみました。受容することは一番難しいプロセスだと思うので、参考になればと思います。現実に起こった出来事は、あなたのものの捉え方によって感情と行動に連鎖し、その出来事の結果を生みだします。ですから、その経験を書き記すことで、冷静に自分を振り返る機会になると思います。感情は複雑でいろいろな思いが、あなたの中にあることが分かるでしょう。過去を振り返りながら、6つの視点で内省します。

あなたの過去の中に、感情のバランスが未だに揺れてしまう経験があれば、ワークにチャレンジしてください。

その経験についての手紙を書きます。あなたの感情を揺さぶった人宛に書きます。その時のエピソードを思い出して、相手に直接語りかけるイメージで、パートごとに書きます。

①怒りのパート、②傷心のパート、③恐れのパート、④自責の念のパート、⑤希望・欲求のパート、⑥許し・感謝のパート

1:文章の流れは、①その出来事であなたは何に対してどのような怒りを感じているかを書きます。そして、②その出来事の何に対してあなたはどのように傷ついているか。③あなたはどのような不安を感じているか。④良心の呵責を書きます。⑤希望・欲求は、~してほしいことを書きます。⑥最後に相手を許す・感謝の気持ちを書いて終わります。書き終わったら、誰にも見せず、引き出しにしまってください。

2:2,3日経ってから、その手紙を、感情を入れ声に出して読み上げてみましょう。

3:手紙を書いたあなた自身に対して、“自分を慈しむ3つのステップ”を声に出して語っていきます。

ステップ1:その気持ちをありのままに感じて良いのです。否定しないで「~そうだったんだ」「そう感じてい良いんですよ」と自分に向かって声を掛けます。

ステップ2:「きっと、みんなも失敗しても立ち上がろうとしているよ。」「他の人たちも同じような経験をしているよ。」と自分に向かって声を掛けます。

ステップ3:あなたの良いところも悪いところも認めて、自分を温かく慈しむ言葉がけをします。そして、「自分のやろうと思っていた目標に向かっていこう。失敗は自分を成長させてくれる機会だと捉えて前に向かおう。」と励ましの言葉をかけます。

さあ 2022年に向けて、あなたらしく、そして自分を慈しむことを大切になさってください。

3つのステップを知らず知らずに日ごろから自分に語っていたという方もいらしたと思いますが、前に進むために、Step3での「自分がやろうと思っていた目標を持つ」ことも重要です。

私は、「今よりちょっと良くしたい」と思って、小さな目標を描きながら人生を歩んできました。あなたは、どのようにしたいですか?

あなたの選択が、あなたという人間を作ります。

自分の選択とは、自己決定によって成り立ちます。今まで、あなたが生きてきた中で、たくさん自分で決定してきたはずです。

自己決定はあまりしていないと思う方もいるかもしれません。例えば、人に勧められたから、親が決めたことだから、上司や会社から言われたからと思っているかもしれませんが、でも結局それを受け容れてきたなら、あなたの決定だったということです。

「やるかやらないか」を決めたわけです。しかし、「自分がやりたいか」ではなかったかもしれませんね。

やらなければならない。やらなくちゃ。やらないわけにいかない。あなたの行動のすべてが、“やらなくちゃ動機―責任感”だったら、少し自分のために考える時間をもっても良いですね。

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あなたの人生は、どうありたいですか?

wellbeingな人生をどのように目指しましょうか。

あなたが、主体的にやると決めたのであれば、それはすべて自己決定と言えます。

行動するか、行動しないかは、自分が決めること。大事なことは、自己決定していくことです。

2022年、良い一年でありますように。そして、良い一年にしていきましょう。

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引用文献:<小塩 真司(2021) 『非認知能力―概念・測定と教育の可能性』 ㈱北大路書房>