「すべき思考」が、あなたを苦しめているのです。自分を解放して良いのですよ。

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。

4月になりました。コロナによって、想定外の出来事が次から次に起こっています。緊急事態は解除にはなったものの、この先が見通せず、職を失ってしまうのでは、生活費がこのままで大丈夫か不安、新たなコロナに罹ってしまうかもしれないとネガティブな気持ちになります。もしかすると、今、私たちは、コロナで自分のメンタルをどうコントロールしたらいいか試されているのかもしれません。

なんで!でも、だれも悪くない。

私たちを取り囲む環境の中で、モヤモヤ感が抜けない、すっきりできていない感じですね。なんで、どうして!という怒りにも似た感情が、ふと湧き上がってしまう時が以前よりもちょっと増えたように思えます。でも、決して元の世界には戻らないと分かっているのですが・・・。過去を見てばかりいる自分が密かに隠れているのかもしれません。元の世界には戻れない。今を受け入れて、悪者探しは終わりにしましょう。

自分か創り上げてきた心の掟が、あなたを追い込む

人は、環境が急変し、何か新しい仕事に挑戦しなければならないとき、「小さな間違いや失敗をしたら、きっと非難されるに違いない」、または「完全でないと周りの人は私を受け入れないだろう」と想像してしまいます。しかしそれは見方を変えれば、仕事はきちんとすべきだ、失敗したらダメだと、あなたのインナースピーチがあなたに語りかけているからです。それによって、やり遂げなければならないと自分にプレッシャーをかけているのです。これは、「こうすべきだ」という自分が生きてきた中で作りあげた「心の掟(認知)が、そう感じさせているのです。「自分が作った心の掟は、自分で変えることができる」のです

自分の中にある「すべき思考」は、結構あるように思います。自分の行動自体が、自分の「すべき思考(心の掟)」に合わない時、「こうすべきだったのにできなかった」と自己嫌悪に陥ったり、罪悪感をもってしまったりします。例えば、小さい時に親や教師から「誰とでも仲良くしなければいけない」と言われませんでしたか。実際に、社会人になって、多くの人と人間関係を深めていっても、良い人間関係を築くことができず、自分の力のなさに落ち込んでしまうこともありますね。すべての人と良い人間関係を作ることは難しいのに、私たちはそうしなければと、懸命に努力をしているのかもしれません。そして、そうできなかった自分に、ダメな自分というレッテルをつけてしまうわけです。

他者と自分の意見の一致はありえない。

じつは、他者と自分の意見の一致はありえないのです。コミュニケーションの構造(シュラムの円環型モデル)上、話し手のメッセージは受け手の解釈によって理解されるので、話し手の意図通りに理解される保証はないのです。人生経験が違えば、他者と自分の思考は違って当然といえます。つまり、ものの捉え方は、一人ひとりの思考の違いが生みだすのです。違っているから学びがあり、違っているから新たな気づきがうまれると思います。興味をもって話を聴く。違いを受け入れていく適応力が大事になりますね。

違いがあるから、折り合いをつけていく

人の行動を見てイライラしたり、がっかりしたりしてしまうのは、自分の「すべき思考(心の掟)」と他者のそれが違うことが原因です。例えば、取引先へのメールの返信はすぐ返信すべきと思う人もいれば、自分の仕事が済んで落ち着いてから返せばいいと判断する人もいます。何を大事にするかの違いによりますね。

身近な例で恐縮ですが、夫とは、結婚当初は山ほどのズレがありました。家族ですから、一つひとつ対話・話し合い(ファイトもありましたが)の上で、合意「二人のすべき思考」を考えていきました。今振り返っても、合意に向けてうまく着地するのは、なかなかタフなものでした。まあ、折り合いをどうつけるかですかね。

ましてや、仕事に至っては、なおさらです。仕事での関係性をあなたがどう捉えているかがポイントになります。例えば、仕事の進め方ひとつとっても、対立してしまうこともありますね。自分がどうしても譲れない手順、相手が譲れない手順があるかもしれません。自分の考えを押し通せば関係性は無くなりますし、相手に翻弄されれば惨めな気持ちになるでしょう。相手と折り合っていくためには、対話が必要なのです。相手が欲しいものと自分の欲しいものを相互に理解するためです。そこから、win-winへの道が始まります。お互いを尊重し共感しあいながら関係性を作る。ある意味、交渉力を育てるということが大事になりますね。

プレッシャーにどう立ち向かうか

別の視点から見ると「すべき思考」は、必要以上に自分自身にプレッシャーを与えて、自分を追い詰めてしまう厄介なものです。行動する前から、失敗しそうだ、失敗したくない、きっと失敗するに違いないとネガティブ思考に引っぱられてしまいます。そして、努力してもけっきょく失敗するのだと自分自身で結論づけて、やる気をなくしてしまいます。さらに、失敗しないためには、「出来るだけ動かない方が良いのだ」と自ら選択してしまうのです。努力も行動も何もしなければ、確かに失敗はしません。失敗を恐れ、ネガティブ・ループから抜けだせずに、貝の殻に閉じこもるのです。「完全か・失敗か、出来た・出来ない」といった二律背反ではなく、プロセスを大事にしましょう。Step by stepで良いのです。小さな一歩をとにかく踏み出すと楽になります

嫌われることが恐い

仕事をしていくうえで、安定している環境は大事です。しかしだからと言って、安定を守るために、何でも引き受けてしまうことや、職場の軋轢によって自己犠牲を払って「我慢すべきだ」「我慢しなければならない」と考えてしまうことはありませんか。上司に嫌われたら、辞めさせられてしまうかも、または同僚に嫌われないようにしなければならないと「すべき思考」が湧くものです。

他者に嫌われるのが恐いということは、セルフエスティームが弱って、低くなっていると考えられます。自己評価が低くなっているということです。これでは、他者との関係性が対等と言える状態ではないですね。まずは、セルフエスティームを高めることから始めてください。

あなたの思考の癖を知ることから始めましょう

一人でもできる方法としては、自分の心にネガティブ思考が浮かんだら、それを文章にして書きます。そして、日を改めて(1~2日程度)、客観的に(他人が書いた文章に対して自分がアドバイスする)ように読むわけです。なぜそうするかと言えば、人は他人に対してのアドバイスは、冷静に考えることができるからです。視点を変えることで、インナースピーチから解放されるアドバイスができると良いですね。それが親愛なる自分へのポジティブなアドバイスになるわけです。必要なら、昨年9月のブログで紹介したIf-thenプランニングも活用できるかもしれません。

「こうするべきだ」「しなければならない」のような「すべき思考」で考えるよりも、「こうしよう」「こうしたい」ポジティブに表現する癖をつけると良いですよ。発言をポジティブにすると、気持ちも楽になっていきます。プレッシャーに振り回されず自己選択していくと、行動も変化していくはずです。

肩の力を抜いて

楽しく人生を生きていくには、自分と他者の違いを認識して、相互に尊重して対話することで始まります。ですから、前提をむしろ「他者と私は違っている」と考えると、「他者と共有できたものが見つかった」と、喜びを感じることになりますものの見方を逆転する感じですね。

テレワーク生活が続いていますが、仕事を進めるだけの対話でなく、お互いを知るために共有できそうな話題でアイスブレイクできると良いですね。そんな雑談の中から、他者の新たな面に気づくこともあるでしょう。肩の力を抜いて、もっと自由に他者との違いを楽しみながら関係性を築いてみませんか。