カンファタブルゾーンからの脱却
こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。
カンファタブルゾーン(comfortable zone)という言葉を聞いたことがありますか? カンファタブルゾーンとは、自分にとって居心地の良い環境、精神的にも心地よい環境といったところでしょうか。
今回は、そのカンファタブルゾーンから脱却する必要性について話します。
カンファタブルゾーンというもの
もちろん自分にとって、居心地が良い環境に越したことはありません。心楽しく毎日を過ごすことができますから。しかし、いままで通りの居心地の良い環境に甘んじていると、脳で考えない人になってしまいます。そうでなくても、毎日同じことを繰り返してしまうのが、人間というものだそうです。ところで、ちょっと足を組んでみてください。足の組み方ですが、何気なく足を組むといつも同じ足が上になっていませんか?知らないうちに、私たちは同じことを繰り返してしまっているのです。そうするのは、心身の安心・安定が得られるからなのかもしれませんが・・・。
ポストコロナになっても、コロナ以前に戻ることはありません。カンファタブルゾーンから脱却することを考える時なのです。
コロナ禍でリモートワークという新しい働き方が、自分に合っていると思った方もいれば、逆にストレスを感じて元に戻りたいと思った方もいるでしょう。どちらにしても環境変化は突然起こります。同じことの繰り返しはありません。自分にとって、環境への変化をどのように再構築するかを考える時なのです。
自分の能力を低くしているのは、自分
一般的に言って、人間は13~14歳くらいになると、環境への適応能力を発展させたり、改良することをやめてしまうそうです。人間の能力は必要とされるレベルより、はるかに低いところに制限されたままです。13~14歳以降、困難をくりかえし経験し、うまくできなかったり、どこか不快だと感じた活動は、たいてい諦めてしまうようになります。つまりその経験が、自己効力感を低くます。そして、困難をくりかえした経験から自分を守るために、回避するよう刷り込まれてしまったということです。ですから自分で、「歌なんかできない」とか、「生まれつき人づきあいが悪い人間だ」とか、「数学なんて絶対に自分にはわからない」などと、自分の枠を決めていくのです。このように能力の成長する機会を中止させてしまい、自分自身に対してネガティブな影響を及ぼしてしまう。つまり困難を回避することが、自分の行動基準になっていくと考えられています。(参考文献:モーシュ・フェルデンクライス著、安井武訳、『フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく』大和書房)
自分の能力に鍵をかけて生きてきた
社会に出て、初めての仕事は、自分にとって新鮮に感じるものです。でも、会社の仕事も、毎日繰り返せばルーティン業務となります。正確に手際よく自分のできる範囲で仕事をしていくわけです。経験を積んでいくことで、仕事も要領よくできるようになります。社内の異動があれば、自分の培ってきた能力を活かして新しい仕事を覚えますが、自分が構築した行動基準の枠以上のことは、できるだけ回避していくでしょう。つまり、もしかするとあなたは、自動的につまり無意識的に安全な状態を選んで過ごしてきたかもしれません。経験を通して作り上げた自己イメージに従って生きてきたのです。別の見方をすれば、自分の能力に鍵をかけて生きているとも言えます。
私たちは、自分の潜在能力を過小評価している
一般的に私たちの自己イメージは、潜在能力よりも制限され小さいものになっています。ところが、30~70ヵ国語の言語を知っている人がいます。そうなると、母国語だけを話している私たちの平均的自己イメージは、その70ヵ国語の言語を知っている人の可能性の約5%しか使用していないということが数千人の人々を観察研究した結果から読み取れたそうです(参考文献:モーシュ・フェルデンクライス著、安井武訳、『フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく』大和書房)。70ヵ国語を知っていると聞くだけでもびっくりですが、その人の潜在能力の可能性を100%としたときに、平均的自己イメージは、潜在能力のたった約5%だけを使用して生きていると聞いて、もっと残念に思えますね。今更ではなく、今からひとつでも、自分が変化成長していく行動を起こして、新たなカンファタブルゾーンの構築に、自分の潜在能力を発揮させることを考えましょう。実現可能性は十分あります。
新たなカンファタブルゾーンを構築する
あなたも、何かチャレンジしたことがあったはずです。でも、失敗を恐れたり、思い通りにできなかった経験から、あなたの内なる声がそっと、「いまさら無理だよ~」とつぶやくので諦めてしまったのです。自分の能力の可能性(95%)をしっかりと自己認知していないのに、もったいないことです。自分の潜在能力はどれほど眠っているのでしょうか。ポストコロナによって、新たな変化が訪れてきます。あなたのカンファタブルゾーンから脱却するのは今なのです。いつもの行動基準でなく、新しい行動基準を再構築し、意識していくことで、凝り固まった自分の行動基準は新しく作り変えられ、自分の五感もさらに磨かれます。そして、新たな経験が自己効力感を高めていきます。自己意識を高めて、次なるカンファタブルゾーンを掴むために行動しましょう。
「できる」か「できない」かではありません
あなたが過去に望んで手に入いらなかったことがあれば、その時と同じやり方をしているだけでは、決して手に入りません。今までやり慣れてきた行動から、全く違うアプローチをトライしていくことになります。とてもエネルギーがいりますし、勇気もいることです。もしかすると、失敗してしまうのではという不安や、何が起こるかわからないという恐れも、生まれるかもしれません。失敗は成功への道を教えてくれる道標です。ですから、自分の能力の可能性を知るには、行動しかないのです。「やらない」で後悔するのか、先がわからないけど「やる」かです。
あなたが望んでいるものを見つけたなら、一歩前に進むだけです。でも、「できる」か「できない」かではありません。できるかどうかを考えるのでなく、「やる」ことを決めて一歩目を踏み出し、二歩目につなげる行動です。
自分の行動を意識して、識別力を持って行動することを学びましょう。前述の足の組み方もそうですが、自分が自分の行動に気づけるようにしていくのです。「あ、また元に戻っていた!」と気づいたら、足を逆に組むのです。もう一人の自分が、ちゃんと気づいていけるように行動していきましょう。
カンファタブルゾーンから脱却するために、一歩ずつ前に進んで、変化成長している自分を褒めていこうではありませんか。
ウォルト・ディズニー 米国のエンターテイナー、実業家 1901~1966
やってみないうちから諦めるのかい? 私たちは高い目標を持っているからこそ、これほど多くのことをやり遂げられるんだ。