あなたは、人に頼ることが苦手ですか? それは、無意識に悪いことと思ってしまうからです。
~自己完結型の本質を学んで、仕事をレベルアップするために~
相談できる相手がいない、そう思う人って結構いるかもしれませんね。頼れそうな相手がいたとしても、サポートが得られそうにないと感じて、自分から諦めてしまうこともあります。きっと私たちの中に、人に頼ることは、人に甘えることだと思う気持ちや、自分の弱さを見せることになると思えるからです。だから、人に頼らず自己完結型の仕事をしがちです。でも、自己完結型がダメというわけではありません。自己完結型に仕事を俯瞰する客観性をプラスすることで、あなたの仕事力はレベルアップするのです。
こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。
「人に頼る」とはどういうことかを 考えてみましょう。
たとえば、「頼る」について調べると、「助けを求める。感情的支援を求める。情報や知識を教えてもらう。アドバイスや意見を求める。仕事の支援を求める。許可や承認を求める。」などがあります。
仕事の支援や、許可や承認を求める、情報や知識を教えてもらうなどの場合は、相手にその力がある場合に頼ることになります。事件に遭遇したら警察に助けを求める。火事になったら消防に助けを求めるなどは、誰だって頼りにします。
逆に「頼れない」と思うのは、どういう状況なのでしょうか。
日常の行動から相手を信用できない時、相手のことを良く知らない時、相手がスキルや知識不足の時、相手が多忙すぎる時、コミュニケーション力に問題がある時、などが挙げられそうです。
日常の行動から相手を信用できないというのは、日々一緒に過ごして観察すれば、その人がどういう人かは認識できます。約束を破る、責任逃れをする、言いわけが多い、連絡が遅い、ネガティブ思考、そして秘密を守れないという人たちは、頼れませんね。
一口に「頼る」と言っても、なかなか奥が深そうです。
今回は、「人に頼ること」について 考察してみることにしました。
人に相談することが苦手と思うのは、自己概念の中に「人に頼っていてはダメ!」とか「他人に弱音を見せたらだめだ」という経験があるからと考えられます。私たちの社会は、自分で努力するのが当たり前、男は黙ってやり抜く、女も耐えてやり抜くなど、黙々と静かにやり抜くことが美徳のように思われてきました。だから「人に迷惑をかけてはいけない」「自分で問題を解決すべき」という考え方が根強く、他者に弱みを見せることを恥ずかしいと感じる傾向があるのでしょう。
また仕事の場面では、職場環境の変化が目まぐるしく、いままでやってきた仕事もIT化が進んでいます。それに対応できないと、”ダメな人”になってしまうと思うのです。そして、誰に訊いたら良いか分からず孤独を感じている人も増えているように思います。職場の人間関係は、互いに自立した関係ですから、相手に「分からないから教えてほしい」と頼るのは考えにくいですね。むしろ弱みを見せることで「能力がない」「頼りない」などと評価されることを恐れるからと考えられます。
期待されていると、「出来ない」と言いにくい。
とくに、周りから期待されると、失敗したくないし、出来ないとは言えない。もしも、誰かに手伝ってもらったら「他者の手を借りている」など陰口を言われるかもしれないと思うと、人を頼るなんて出来そうにありません。だから、自分一人でやり抜きたいと思うのでしょうね。
自己完結なんて無理!!
自己完結型の仕事をしても、文句を言われるのが落ちだから、言われたことを言われたとおりにやればよい?! と思う人もいるでしょう。確かに楽かもしれません。でも、あなたの仕事のスキルは育たないですよ。あなたの能力は、あなたが伸ばす。人のせいにしても将来はあなた自身に降りかかります。

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そんなわけで、仕事は「自己完結型」であなたの強みを活かす。
自己完結型での仕事は、自分中心で視野が狭くなってあまり良くないと言われることがあります。でも、自己完結のやり方を工夫すれば、決して悪い方法とは言い切れないです。
なぜなら、自己完結するメリットは多く、自分で判断できる範囲の問題においては有効で、迅速な問題解決につながることがあります。他者のスケジュール調整や意見の調整が不要なため、自分のペースで効率的に問題解決に取り組めます。つまり、自己決定して仕事をするので、自己肯定感も上がります。
自分で考え行動するので、主体性や責任感が育まれ、成功体験を通じて自信にもつながります。他者に頼る習慣がないため、自立心が養われ、困難な状況でも自分で乗り越える力が身につきます。かなりメリットがありますね。
一方、自己完結型の弱みは、情報の受け取り方について、客観的な視点や新たな解決策を見落とす可能性があります。また知識や経験が不足している場合、誤った判断で問題を悪化させる可能性もあります。ここを、どうフォローしていくか、考えて行動すれば、いいわけです。
このように自己完結型であることは強みにもなりますが、さらに状況によって、協力を求める姿勢を持つことが、より効果的な問題解決につながります。常に自分の状況を客観的に評価し、適切なアプローチを選択することが大切ですね。
人に情報や知識を教えてもらうのは、苦手と言う人もいます。それは「無知」を認めて教えを乞うことが、恥ずかしい気持ちにさせるからでしょう。また、分からないことを聴くのですから、相手がどこから話してくれるのかによっては、全く理解できないことにもなります。話すほうも、相手は何が分かって何が分からないのかが不明では、どう話せは良いか、分かるはずもありません。
専門性の有無や思考の違いを受け入れるのは、至難の業と思うかもしれません。しかし、誰だって最初から分かる人なんていません。相手の話し方が分からないと愚痴を言っても、何も変わりません。自分も自習しておくなど、お互いに歩み寄る姿勢が大事です。基本は、柔軟性をもって互いに相手の話を聴く姿勢、そしてどこが分からないのかを言語化できる力も必要になります。少しずつ養っていきたいですね。
頼れる関係性を育てましょう。
仕事を完結していくために、自分は何ができるか、何が足りないのか、何が必要なのかを明確にすること。
何が必要か分かったら、「自己完結+頼れる関係性」の構築をしておくと良いですね。「+頼れる関係性」とは、仕事の中で必要に応じて、お互いに補完しあう関係、互いに協力しあう関係とでも言えばよいでしょうか。
たとえば、わたしの場合だと、「仕事の支援を求める」のが下手というよりも、自分でやったほうが速いと思ってしまうたちでした。仕事の期日に遅れることを避けて、自分で背負いこむことを選んでいた、自己完結型でした。でも、仕事の範囲が広がると、仕事に関係する部門での協力者との横のネットワークが、いざというときに協力ネットワークとして助けてくれます。私の場合の例として、自己完結+頼れる関係性について、お話しします。
わたしは、広告代理店のアートディレクターであり、グラフィックデザイナーだったので、基本は自己完結で仕事を進めてきます。わたしの仕事は、新商品をより多く売れるようにする仕事です。商品の個性が売り物なので自分の感性をどう表現するかが勝負です。仕事に必要な知識や情報を協力ネットワークから集め、仕事の目的を明確にして、計画を立てるのです。
得意先からの情報の収集はなんといっても大事です。その際、取引先のニーズは何かを探り、分からないことは何か、いつまでにどのくらいの予算でまとめるか、最終プランはどのようにするかを決めてからプランを考えます。
自己完結型の仕事ですが、コピーライターと組んでプロモーションを作ります。それぞれ出したアイディアをぶつけながら、より良いものへと煮詰めていくわけです。どちらが良いとかではなく、アイディアを互いに膨らませ具体的に仕上げます。最終的に、私が仕上げたものを得意先にプレゼンテーションをして、合意できれば成約となります。
個々が「自己完結」を目指し、それぞれの専門性を尊重して「頼れる関係性」の上で、仕事を進めていくのです。
社内業務だと、たとえば自己完結型の仕事の進め方をするには、組織目標などがあればそれを念頭にいれておくと仕事の判断基準として役立つでしょう。そして、上司に、進捗状況を確認することや、情報取得のため他部門へのつなぎなどを上司に依頼(お願い)することも重要です。そうすることで「自己完結+頼れる関係性」で、あなたの仕事がしやすくなります。
もう一つ、「+頼れる」関連で役立つことをお話しします。それは、あなたの会社の中で、「ビジネスで尊敬できる先輩や上司がいる」と良いですね。今までの社会経験の中で、あなた自身がロールモデルとして憧れる/尊敬する人を持つということです。
あなたが仕事で困ったときや悩んだ時に、一人で悩むのでなく「○○さんだったら、どうするだろうか?」と、彼らだったらどう選択するかを考える時間を持つためです。このような心の拠りどころを持つことは、きっとあなたの視野を広げてくれると思います。
本来の自己完結の本質は、主体的に良い仕事を生み出す方法だと私は考えています。
独りよがりに仕事をすることでは、完結にはなりません。また、自分で考えずに、言われたことをやっていては良い仕事は生み出せません。自分の力を駆使し、周りの人たちとの「頼れる関係性」をもって仕事をすることが、自律的キャリア形成につながり、あなたの人生を自分らしく力強く育んでいきます。
自己完結型+頼れる関係性は、きっと役立つことと思います。互いに頼れる仲間づくりを構築してみるのも楽しいことだと思いますよ。
社会の仕組みは、+頼れる関係性によって成り立っていると言えます。大切に育てていきましょうね。