セルフエスティーム(自己肯定感)を高めるための新習慣㉚

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。
セルフエスティーム(自己肯定感)を高めるためのエクササイズをお届けします。

楽観性の高い人は、ストレスに強い?!

前回は、「楽観的な説明スタイル」と「悲観的な説明スタイル」についてお伝えしました。


じつは楽観性は、適応や精神的健康・身体的健康にも関連していることが多くの研究で示されています(Caever et al 2010)。そう考える理由として、ストレスフルな事態に陥ったときに、ストレスにうまく対処する力にあるという見解が有力と考えられています。具体的には、楽観性の高い人は低い人よりも健康状態が良いこと、免疫機能が高く、手術後の回復が早いことや風邪をひきにくいことが報告されるなど身体的健康にも関連していることが実証されているのです。


そのため「困難な状況に陥っても重篤な精神病理的な状態にはならない、あるいは回復できる心理的特性(石毛・無藤 2005)」と定義されるレジリエンスの構成概念の一つとして楽観性が取り上げられています。

楽観性の高い人は、目標達成しやすい!

楽観性の高い人は、目標達成を妨害するようなストレスフルな事態に陥っても、状況が統制可能と認知すると「目標を達成することができると期待する」ために、問題解決の方法やストレッサーや、自分の感情を統制する対処方法で目標に立ち向かいます(Carver & Scheier 2002)。そして、目標に積極的に関与して努力するので、結果として、目標の達成に繋がりやすいといえます。 

 
状況が「統制不可能」だと認知した場合には、楽観性の高い人は、無駄に努力するのでなく、それらの状況を受け容れる傾向が強くなります。つまり、楽観性の高い人は状況に対して適応的に、目標への関与を使い分けているといえます。 認知処理や行動における柔軟性の高さ、すなわち、状況に応じて認知処理や行動を調整する力が長けていることを示す研究知見が報告されています。 


また、アメリカの社会心理学者であるハイディ・グラントが、楽観性について述べています。
現実的楽観主義の考え方はシンプルだが、その効果は極めて大きい。現実的楽観主義を実践するには、万事うまくいくと信じつつも、成功への道は容易ではないかもしれないという現実を受け入れる必要がある。 科学的研究が一貫して示しているのは、障害や逆境を前にしてモチベーションを維持するには、ポジティブな期待を抱くことが欠かせない点だ。そうしたポジティブな期待のことを、この分野を切り開いた社会心理学者のアルバート・バンデューラは強力な「自己効力感」と呼んでいる(Heidi Grant 2021)。(注:現実的楽観性とは、このブログで探求している楽観性を意味していると考えられる)


ハイディ・グラントが述べている「ポジティブな期待」とは、「目標を達成することができると期待すること」と同じことでしょう。つまり楽観性を高めるには、「自己効力感」が欠かせないということになります。

楽観性を高める方法

楽観性は、他の心理特性と比較して可塑性が高いことから、育成すべきものと考えられています。楽観性を高めることを目的とした介入やトレーニングが実施され、楽観性が向上したことによって、適応や精神的・身体的健康にポジティブな効果が見られたことが分かっています。
先述した楽観性と自己効力感との結びつきがあると考えると、自己効力感を高めることで、状況が統制可能だと認知しやすくなる可能性が高まります。

楽観性を高めるには、毎日5分間「こうなりたい」と願う自己について、想像することを2週間行ってもらうというエクササイズがあります(Malouff & Schutte 2017)。この「こうなりたい」と願う自己を想像させたり書かせたりする方法は、他の方法に比べて楽観性を高める効果がより大きいことが示されています。


人生における成功の経験(頑張ってきたこと)を思い出しながら書き出し、具体的にどんなことをやったのか、その時の行動を振り返っていくことで、自分の能力や行動を再認識し、自己効力感を高める一助になるのではないかと考えます。
または、困難な状態の中でどのように乗り越えたのか、その危機をどうポジティブに捉え直したのかを振り返り、語ることも重要ではないでしょうか。新たなことに対して、実験(失敗)をしながら、検証し、小さな成功を積み重ねていくことも、自己効力感を高める経験になります。


一日二日で達成したいと思う目標を挙げて、この目標を達成するための進め方、つまり計画方法を書き出すという癖をつけることも有効だと思います。こうすることで、自身の行動パターンや強みを理解する機会になりそうです。
これらの経験を増やし、統制可能の範囲が広がることで自己認知が高まることになるでしょう。