自信は自分で作るもの ?! 自信を育てる方法とは。

根拠のある自信と、根拠のない自信の2つを持つことの大切さとは

スポーツを見るにつけ、試合前のインタビューで、アスリートたちは、「自分を信じて、力を出し切るだけです!」と応えることが多いですね。アスリートは、ほんとうに「自分を信じている」から、言えるのです。 

私もスポーツをしていますが、「自分を信じている」なんて、とても言えそうにありません。アスリートたちの、「根拠のある自信」は、どういうプロセスで作られるのでしょう。

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。 

そして、「他者を信じる」という視点に立ってみましょう。人を信頼しないという人もいますし、人を信頼する人もいます。ヒトを信頼する/信じるという気持ちって、どこから来るのでしょうか。

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心理学的には、Rousseau et al.(1998)は、「信頼とは、他者の意図や行為に対する好意的な期待に基づき、自己の脆弱性をよしとする意図を生じさせる心理的状態のこと」と定義しています。つまり、信頼は、「自分に意図的に損や害をもたらすようなことはないと思われるため、ある程度のリスクをとって何かを委ねることができる」と定義しているのです。

分かりやすく言えば、信頼とは、「あなたは私に害をもたらすようではないと思うから、とりあえず私は、あなたを信じる」ということかと。つまり、「私はあなたを信じる」という、「根拠のない自信」をもつわけです。

今回は、心理学的視点で、「根拠のある自信」と、「根拠のない自信」について、もうすこし掘り下げてみようと思います。

そもそも、自信(自分を信じる)は、最初から持てるものじゃない。

何も行動しないで、自分に自信を持つなんてできないことです。

たとえば、料理だって、赤ちゃんの時からできる人はいません。でも、小さい時から、親の真似をして遊びの延長でオママゴトをやる中で、道具や包丁さばきを覚えていくし、興味も持つようになります。経験を積んで、誰かに食べてもらって、「おいしい!」なんて言われたら、ますます好きになっていくでしょう。そんな中でだんだん「自信」を持つようになるのではと考えられます。

私が卓球で、自信が持てないのは、卓球練習をやりきったという感覚が持てていないことにあるように思います。学生時代の6年間、毎日欠かさず真剣に練習してきましたが、いま思うと漫然と練習していただけだったように思いました。そして自分の目指すものを持たずに、ただルーティンを回していたのだと気づきました。目標を持つという自覚なしに練習しても、自信につながらないのです。

アスリートは、目標を自覚しています。

目標を達成するために、アスリートはコーチの支援やアドバイスから、彼らの技能を目いっぱい高める努力をします。そして試合経験を積みながら自己成長していきます。試合での勝利は彼ら自身を鼓舞し、ポジティブな感情を高めます。

自己成長している自分を認識し、さらに目標達成に向けて、自己成長し続けていくことで、自己への信頼が生まれると考えられます。まさに「根拠のある自信」と言えます。そして、このプロセスは、バンデューラが提唱した自己効力感につながります。

他者を信じる/信じない「根拠のない自信」とは

さて、人を信じるということは、またちょっと違うようです。

すでに述べたように、信頼とは、「あなたは私に害をもたらすようではないと思うから、とりあえず私は、あなたを信じよう」ということでしたね。つまり、「根拠のない自信」をもつということでした。

同じ人に対して、人によって信じる/信じないとバラつきがでるのは、何故なのでしょうか?

そこには、個人の捉え方の違いがあるからだと考えられます。同じ人に対して、「私は、あなたを信じる」、「私はあなたを信じられない」という判断がそれぞれ生まれるのです。どちらが良いと言っているわけではありません。

人生の知恵が、答えを出すから

「信じる/信じない」の根拠の違いは、その人の「ものの捉え方」にありそうです。いままでの過去の体験、経験、社会性、生い立ち、目の前の状況の捉え方など多くの要素から客観的に捉え・考える力によって左右されるからです。

クリティカルに、物事を捉え判断した結果、明確な根拠はないものの、「私は、あなたを信じる」、「私はあなたを信じられない」と、知恵(メタ認知)が、直感的に答えを出してくると考えられます。生まれてから今までの人生経験から作られた、自分の価値観、興味、好き嫌いなどから、脳が合理的に判断するわけです。

ただ、この直感的な判断は、確証バイアスにもなりかねません。私たちは、柔軟性をもって、つねに客観的に捉え・考えることを忘れずに判断する必要がありますね。

「私は、自信を持てない。」と諦めている あなたへ。自信は自分で育てましょう。

「いつも損な役回りばかり・・・」「何をやっても中途半端・・・」と感じているあなたへ。そう思っているのであれば、あなたにとって大きなストレスになっていると思います。      

たとえば、仕事で、”私は、いつも損な役回りばかり“、”つねに、こき使われているだけ”と感じているとすれば、人間関係の築き方に自信が持てないからだと思います。そのせいで、自分の考えを言えず、面倒なことを引き受けてしまい、関係性が悪循環になってしまうのではありませんか。

また、“何をやっても中途半端だ”、“頑張ったって、あの人に負けるに決まっている”と、あなたが思い込んでいるなら、自分の中にある「ダメな自分」に、“さよなら”する必要があります。できないことばかりに目を向けていると「ダメな自分」が大きくなってしまうからです。

自信は自分で作るのです。自信を育てる5つ方法をご紹介します。

方法1:知識を得る・練習する。 小さく始めることをお勧めします。

実は、私もやり始めてます。私は卓球で自信を持てるように、自分の課題を明確化(目標を自覚する)することから始めました。コーチからアドバイスをもらえるようにして、卓球のトレーニング練習を増やしました。確かに、練習の映像を以前のものと比較すると、練習を積み重ねた成果がみえました。確実に卓球がうまくなってきたのが確認できるので、根拠ある自信が持てるようになりました。

たとえば、あなたが、人間関係の築き方が苦手なら、コミュニケーションの講座やキャリアカウンセリングを利用することから、初めてみるのもいいですね。プレゼンテーションなら、講座はもちろん、アドバイスや知識を得ることで、技術・スキルは向上します。まず、あなたが自信を持ちたいと思っているものがあれば、世の中にはいろいろなトレーニングコースがあるはずです。大事なのは、“何をどれくらいまで向上させたいか”という目標を自覚して、少しずつでも、やればできるようになります。

方法2:自分の気持ちを下げる人には近づかない。 エネルギーを吸い取るヴァンパイアにご用心。

陰で上司の悪口ばかり話してくる人っていますね。そして、上司の前では調子よく振舞う人や、愚痴ばかり言っている人、こんな人たちは、ヴァンパイアです。あなたをネガティブワールドに連れていくヴァンパイアに対処するコツは、一緒にいる時間を制限することです。あなたが、ポジティブワールドにいられるように、タイムコントロールしていきましょう。たとえば、ネガティブな話の途中でも「急ぎの仕事があるので、ごめんなさい~」と言って、失礼するのも良いですね。

そして、あなた自身に戻れる時間を作りましょう。たとえば、おいしいコーヒーを買う、本を読むなど、今日をがんばったあなたに、「一日よく頑張ったね」とご褒美を上げるのも良いものです。また、あなたの気持ちが上がる友人との時間を増やすと自分の中に、自信が湧いてくるのではないでしょうか。

方法3:「かくあるべき思考」から脱出する。 こうでなければならない、これしかないと考えがちな人は、その考えから脱出して気分をリラックスさせてください。

「この仕事がダメだったら、もう終わりだ。」と思ってしまうのは、「かくあるべき思考」かもしれません。思い通りにいかないと、「これではダメだ」と脳が否定的なフィルターで解釈し始め、心の中の批判的な自分が、急に頭をもたげて大きくなってしまうのです。その結果、あなたの自信が急落することになります。

これはあなたの「ものの捉え方」が、負のスパイラルになっているせいです。「この仕事がダメだったら、終わりでなく、これ以外にもたくさん選択肢はあるものです。「かくあるべき」ではなく、「そうかもしれないけど、別の見方もあるよね」と自分に問いかけてみるといいですよ。

この負のスパイラルに巻き込まれないためには、気分転換が大事なのです。ウォーキング、早歩き、スクワットなどスポーツも良いし、お笑いを見たり、ゆかいな映画で大いに笑うこともスカッとします。好きな音楽を聴くこともリラックスできてよいと思います。

方法4:失敗を受け入れる 失敗は成功するための一つのステップなのですが、失敗という経験はあまり楽しいものではありません。かといって、失敗しないですべてを成功させようという完璧主義では、失敗を恐れてチャレンジしなくなってしまいます。失敗を悔やむのでなく、むしろ成功に一歩近づけたことを喜び、その失敗の原因を明確化するために振り返りをします。その経験から得たものが、自分の栄養になって自信がついていきます。

方法5:「すべき」から「したい」へ “人前で話すのがもっとうまくなるべきだ”ではなく、”人前で話すのがうまくなりたい”と自分に言いましょう。”できていない自分”をまず受け入れます。そして、あなたが発信する表現を”すべき”から”したい”というように、自分のものの捉え方を変える言葉を選んでいきます。”すべき”は肩に重いものがのしかかる表現ですが、”したい”は力を与えてくれる言葉です。たとえば、プレゼンテーションが上手にできている自分をイメージしてみましょう。イメージできると、具体的な学びのヒントが見えてくるものです。

いかがでしたか? 行動とものの捉え方を意識すること。行動することで、自信は動き出すこと。物事をやる前から、うまくできなかったことを想像するのは止めましょう。何も身動きできない自分なってしまいます。自分の可能性を封印しないでくださいね。

自分は成功できるし、思っているよりもっと能力があるということを信じる。自分を信じてやり続けていく勇気が、自信を作ってくれるのですから。自信を育てていきましょう。

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参考文献<『心理学者によると、毎日もっと自信を持つための 5 つの簡単な方法』 By Amy Capetta 翻訳: Mitsuko Kanno From Good Housekeeping US>