「はて?」と、「スン」。あなたはどっちですか?

朝ドラを久々に楽しく観ている。初代女性弁護士がのちに裁判官になった実話をベースにした話です。その中で、彼女は自分の心に揺らぎを感じたときに、「はて?」と、つぶやくのでした。自分の内と外に揺らぎを感じたとき。自分の在り方と違うときに、自分に問いかけて考える。そして、言葉にしていく。自分の志にまっすぐに生きていく姿がそこにあります。

そしてもう一つ、印象的な「スン」。彼女が、社会に出て仕事をしていくが、結婚して子供ができたことで、仕事を断念し社会の中のありように、自分を合わせて生きるとき、彼女は自分の眼をつぶっているかのようでした。それが「スン」なのです。自分の心を閉ざしている、塞いでいるのでした。

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。 

この「はて?」と「スン」の表現で、私の中にも「はて?」と「スン」が同じようにありました。(この言葉を生み出した人に、お礼を言いたい。)自分の過去をその言葉で振り返ることができたのです。

あなたは、どうですか? あなたの中にも「はて?」と「スン」があるのでしょうか。今回は、これについてお話したいと思います。

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いまは、Z世代などと言われるなかで、“いい子症候群”と若者に対して言うことがあります。もしかすると、若者たちが「スン」なのかもしれません。でも、私の世代から、似たようなことはありました。

あなたにも「スン」の時代はありましたか? それとも今も「スン」でしょうか。

私が小さいころは、よく叔父や叔母から「ひとみちゃんは、いい子だね」などと言われたし、母からは「いい子にしなきゃダメ」などとよく言われたことを覚えています。親目線でいえば、世間体からも、騒がずに大人の世界を邪魔しない子は誇らしいし、親も面倒をかけない子供だから楽に違いない。私も大人から「いい子だね」と褒められるから悪い気はしていませんでした。

でも、本来の自分ではなかったんだと、今になって思います。親や先生から、「あなたのことを考えて言ってるのよ」と言われたら、そうすることが必要なのだと理解して、その通りにしていた。これは、「スン」なのだと理解しました。

私は、疑いもなく親の意に沿って幼年期を過ごした。「スン」時代だったのです。自分の考えを持つということにも気づかず、必要性も感じず、ただフワッと生きていた。これが人生だと思っていたのでしょう。ある意味、幸せだったのかもしれない。

私は、父が急逝して、事態は一変しました。自分の生活環境も変わった。自分の将来、人生をどうするのか、どう生き抜くのかを考える必要性が生まれた。「はて?」の始まりになります。

それからは、「はて?」の連続が続いていった。母を見て夫に頼る人生は歩むまいと決めて、一生働こうと決心しました。

「はて?何をやって働く?」。女性が一生働くなんて、だれも望んでいない時代でした。ほとんどの女性は2年務めて寿退社の時代だったから。専業主婦になるのが、幸せの形だったのです。

でも、私はちょっと違っていました。一生自分でお金を稼いで生きたいと思っていたから。自分の意思を持って、自分で考えて行動していく人生を生きたいと。

「はて?」、私は、なぜそう思ったのでしょうね?

誰からも束縛されない、自分の尊厳を持っていたかったのか。まあ。いままでの生活の中でぼんやりと感じ取った気持ちが、なんとなく言葉にできたようでした。

「はて?」何でそこまで頑ななのか?

答えはまだ見つかっていないけど、働き続けている私がいます。自分への問いかけは、いつも「はて? わたしは、どうありたいの?」と内省しながら、自分発見をしながら生活をしています。

「スン」という言葉を心で聞きながら

私たちは、社会の流れに沿って生きています。社会の風潮によって揺らぎながら生きていると言っても良いでしょう。だから、自分のことを考えずに、なぜやるかも考えず、ただ仕事をして生きてしまうこともありますね。つまり「スン」という言葉を心で聞きながら生きている感じでしょうか。つまり「スンの人」になってしまうのです。

「はて?」と自分の心の声に耳を傾けて、自問自答する余裕を持ちたいものです。

「はて?」あなたは、どうでしょうか?

「スンの人」が増えている?

キャリアカウンセリングをして、最近、相談者の悩みで多いのは、「将来が不安だ」という相談です。職場の不満、仕事の不満は、その不満を解消できる環境を探せば、解決できます。でも、将来の不安は、主観的なものだけに、そう易々とはいきません。

「このまま今の会社にいて、大丈夫だろうか。」「いまの職場で自分は成長できないのではと思うと不安だ。」「今の自分が他社で通用できるか不安だ。」といった悩みが多い。たしかに、会社の仕事に追われる生活だと、社会との接点が乏しくなり、井の中の蛙になった気分になる。こころのモヤモヤを整理するために、キャリアカウンセリングを受けるのは大事なことです。

でも、この不安は、あなた自身が「スンの人」だから生まれると思います。

その不安は、どこからやってくるのか

自分の内側に目を向ける機会を持たなかったからではないかと。たとえば、みんな大学に行くから、親も行ったほうが良いというから、大学に進学した。就職も、大手企業だと有名だから一生安定していると言われて、そういう会社を選んだなど、よく耳にする話です。

周りからの情報やアドバイスで、決めていることが多いようです。悪いわけではないのですが、「自分で選択しない人たち」が多いことを危惧しているのです。それが不安を生むから。もっともっと自分の力が発揮できるのに、自分軸が形成されていないから、選べないのではと思えます。

だからでしょうか。「未来のことは、何が正しいのか分からないから、決断なんて怖くてできません。」という人もいるわけです。だから、今ある安心安定を大事にして生きるのだという人もいるでしょう。でも、それは、いまの安心安全をキープしているだけです。いま以上に、良い環境を生み出すことはありえません。むしろ先々の不安は消えることはないでしょう。

未来を生きるために、「はて?」を起動させよう

未来を生きていくのは、面白いです。自分で選択して、やってみることから、すべては始まるから。やってみたことで、いままでと違う日常が生まれます。自分の力量が解る。足りないなら力をつければ良い。「はて?」と言いながら、興味があるかどうかも感じ取る。その経験の積み重ねが、自分を知るチャンスになります。行き詰ったとき、どう乗り切るかを「はて?」と必死に考えて、次の手が見つかる。そこで、自己効力感が高まります。未来は面白いものになるのです。

外ばかり見ていないで

前述の相談者が言った「こんな職場で自分は成長できないのではと不安だ。」という言葉は、その相談者が、自分の外ばかり気にしているから生まれた言葉です。

「こんな職場で自分は成長できない」と職場のせいにしている? もしそうなら、「会社を変えても同じことの繰り返しになるよ」と彼らに言うでしょう。まず、彼ら自身が「はて?」と気づくことで、未来が始まるのです。

「スン」から「はて?」へ

漠然とした心の揺らぎを感じ取ることが大事なのです。「スン」とサヨナラすることから始まります最初は、うまく言葉にできないかもしれない。でも、こころのアンテナ(あなたの感情)を立てることから始めてみると良いでしょう。「はて?」が見えてくるように。

あなたの成長は、転職だけではありませんよね。転職はあなたの外側を変化させているもの。その前に、あなたの内側を変化成長させることから始めたら、不安は消えてゆくものです。そして、あなたは紛れもなく成長できています。あなたの成長に合わせて、外側を変化させることもできます。

ビックリする未来が、拓けてくるかもしれません。あなたの未来のために、あなた自身で考え、選択して生きるのが人生ですもの。

私も、自分の未来をどう生きるかを選択して、生きています。そして、自分にちょっと期待して、生きています。だから、期待した分ちょっと努力もしています。

「はて?」 あなたの未来をどう生きますか? 他人の期待に応えるだけの人生ではなく、自分に期待して、力をつけて生きることは、あなたの自己効力感が高まっていきます。将来の不安は、自ずと小さくなっていくはずです。