人生の50年が仕事時間! 幸せを掴むために,いま仕事を見直す理由

“人生100年,その半分の50年が仕事時間”と聞くと、ビックリしませんか。あなたの人生を豊かにするかしないか。仕事は大きな影響を与えますね。仕事は、自分らしい人生を実現する手段とも言えます。つまり仕事は、自分の人生を最終的に充実したものにするツールといえます。

こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。 

仕事も環境が変わり、在宅ワークやリモートワーク、ワーケーションなどが定着しつつあります。仕事の世界がいろいろと変わってきています。 

仕事環境が変わったことで、仕事のやり方が変わってしまった。周りの仲間の仕事ぶりが見えない。自分はチャンと「仕事ができている」と評価してもらえるのか。なんだか努力しても報われないような、不安な気持ちになることもあるでしょう。一方、変化した今の環境が、周りを気にせず仕事に集中できて、自分に合っているという人もいます。

このような仕事の取り組み方や求められることが変わると、仕事の価値観も変化するものです。

スーパーとホールは、“自分の能力と適性について考えを深める自己理解と、仕事に役立つ知識や情報の収集が職業選択の具現化に有効である”と述べています(1987)。

今まさに、 あなたの“人生100年”はどうありたいのか。満足できる人生を築くには、人生の半分の時間を費やす仕事が、どうあったらいいかを考える良い機会だと思います。 

あなたは、何が得られたら、働く意欲が増しますか

「そんなことを考えるより、生きていくために働くだけで良いじゃないか」というかもしれません。あなたの人生ですから、「それもあり」と言うしかありません。ただ、経済変化の激しい社会では、世の中の変化に意識を持ち、仕事に役立つ知識や技術をつねに養っていかないと、働き続けるのは厳しいですね。

もっと前向きに人生やりがいを持って生きたいということでしたら、「あなたは仕事で何を得たいのか」を考えることが重要になります。人は、手に入れたいという動機を満足させようと行動するからです。

つまり、人は、努力の甲斐があるかどうかで行動するかしないか判断します。そして人は、結果に何を得られるかという期待で行動を起こします。自己効力を持っていたとしても、努力する甲斐がないと思えば、行動する気持ちになりません。力があっても、その力を発揮しないわけです。なんとも、もったいない限りです。

努力の甲斐があると判断すれば、持続力を発揮します。つまりエンドレスループで成長し続けていくことになります。充実感はこのような心理から得られているのです。

人生の半分の時間を仕事に使うのですから、どうせなら腑に落ちることに時間は使いたいですね!

具体的には、生活のためにどのくらいの時間を働くか。何をして働くか。仕事とプライベートのバランスは。何をしている時間を多くしたいか。あなたが、仕事時間を使うのなら、どんな環境で働きますか?行動におこす動機はなんでしょうか。イメージすることで、あなたはその方向に行動することができ、より満足できる環境で働くことができるようになります。

自分らしく働くとしたら、何があればのびのびとするのでしょうか。

人が欲しいと思う3つの要因

キャリア心理学の研究で、“行動した結果、自分のほしいものが得られるのか”という”結果期待”があります。結果期待には、人が行動するかどうかを判断する要因に、①報酬や労働条件に重きを置く(物質的価値)。②人から認められたり、評価される(社会的価値)。③やりがいや達成感(内面的価値)の3つあると言われています。

では、イメージできるように、3つの要因についてお話します。

Aさんの場合は、仕事はお金を稼ぐ手段と考えます。収入が大事なので、どんなにきつい仕事でも割り切って前向きに働く人です。稼げる仕事って何でしょうか。また、キャリアを挙げていくこともAさんには重要です。でも、いくら収入が多いと言っても、夜遅くまで働き詰めで仕事と寝るだけの人生はだれも望まないのでは。そして働く時間とプライベートのバランスは重要になりますね。仕事以外の時間はどう過ごしたいでしょうか。 

Bさんの場合は、出来るだけ多くの人とのかかわりをもって、社会のために人から喜ばれる、認められることに時間を使って働く人です。具体的に、あなたが考える、社会のためのかかわりとは、どのようなものをイメージしているのでしょうか。人から喜ばれるって、あなたは人とどうかかわっているのでしょうか。そしてそれが達成できる仕事は、どんなものがあるか見極めることが重要です。収入とのバランスはどう考えますか。

Cさんの場合は、一生を捧げて何かを探索することに時間を使って自己成長しながら働く人です。この場合は、社会的ニーズがある分野なら仕事になりますが、そうでない場合は仕事に結びつきにくいこともあります。社会のニーズを探索する力もいりますね。また、仕事でコツコツとやり遂げて、達成感を味わいながら働く人です。つねに努力を怠らず、自己成長を実感できる環境を大事にします。

あなたが、一番自分が動機づけられる、または感情がワクワクするのは、A、B、Cの中では、どれでしたか。

ピッタリしなくても、あなたにとっての方向性が見えればよいです。 今現在がベストな環境ならば満足感を味わえますね。そうでなければ、それができる仕事環境に、シフトすることを考えてみるのも選択肢としてあるでしょう。

人生時間を倍速にする

さて、生きていくために働くということは、誰でも理解していることです。ただ単に働くのでは、自分の可能性は発見できそうにありません。あなたの人生での結果期待は何か。それによって、仕事との付き合い方も変えられます。

仕事に何かをプラスして、人生を倍速にすることもできます。今は、副業もOKという時代になりましたから、一つ以上のキャリアを持つという選択肢も増えますね。人生を二倍味わうことが出来そうです。

そうなると、現在の仕事にプラスして“サブの仕事を増やす”ことも、もちろんできます。または、現在の仕事にプラスして“自分のやりたいことに時間をかける”。現在の仕事にプラスして“自己実現のための学習時間を生みだす”など。あなたの人生時間を倍速で上手に使うことができます。

自分のやりたいことが明確なら、「自分がやりたいことに時間を使っている」と満足感が持てるので、毎日が充実します。そして、一日一日がより前向きに行動できるようになります。

誰もがみんな同じ24時間を持っています。同じ人生なら、将来の人生の充実を図るために、倍速で楽しみながら働くという選択肢も、ワクワクしませんか。

日本では、専門性の高い学びは別ですが、一般の大学での授業で身につける知識や技術と、職業のつながりが今一歩確立されていないのが現状です。その結果として、新入社員を採用しても、その内の約30%程度が離職しているという実態があります。企業にとっても、新入社員にとっても、とても残念なことです。

ですから、社会に出てから、仕事のスキルや知識を自ら学ぶことが求められています。多くの方が、自分の市場価値を高めるため、転職を有利に進めるため、年収を挙げるため、今の会社でキャリアアップするため、今のキャリアに不安を感じたためなど、社会人が学び続けています。

 人生、学び続けるものなのです。わたしも、かなりキャリアチェンジをしてきました。そのたびに実務知識をつけ、実務経験を増やし、専門性を高めるための学びを深めたことで、実務に活用でき、生き抜いてこれたと思います。

 時代の変化とともに、知識や技術も多様に変化してきました。自分の能力に、新しい知識や技術をプラスできたことで、より高い自己効力感をもてるようになったと思います。

自己効力を養うことの重要性

あなたはどんなことに対して自己効力感が高いと思いますか。自己効力感とは、“ある課題に必要な行動をやり遂げられる能力の自己評価”です。やり遂げた経験は、自己効力をつけていきます。この自己効力は、他の誰でもないあなたの強みです。あなたなりのノウハウがあるでしょう。そのあなたの強みを大切になさってください。

時代の変化とともに、仕事も変化していくものです。ですから、仕事に役立つ知識や情報の収集は、つねにアップデートしていくことになります。したがって、あなたの能力(強味)を新しい知識と技術で磨きをかけて、他にないものにすることが重要ですね。今風にいえば、リスキリングというのでしょうか。

今、あなた自身が目指そうと思う目標があれば、自然とその達成に向けてシナリオを描き、行動を起こしていくでしょう。でも、将来の目標が今なくても、あなたの現在持っている自己効力感が、あなたの将来の職業を導く可能性を持っています。

幸せを掴むために、いま仕事を見直す理由について述べてきました。

人生100年が寿命だとして、その半分が仕事時間です。たった一度の人生ですから、あなたにとって、できるだけ意味のある人生にしていきましょう。

誰しもが、幸せな人生を願っています。幸せは、日々の積み重ねの中に見つけだすものです。 

自分が仕事で何を得たいのかを明確にすることは、日々の生活に活力を与えるでしょう。そして、自分の強みを理解し鍛えることで、あなた自身が勇気を手に入れることができます。

仕事を楽しくすることが、人生を楽しく幸せにしていくこと。あきらめないで、みつけましょう。

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参考文献:<諸井克英・宗方比佐子・小口孝司・土肥伊都子・金野美奈子・安達智子(2001), 『彷徨するワーキング・ウーマン』北樹出版><Bandura, A. (1995). Self-Efficacy in Changing Societies: Cambridge University Press,(アルバート・バンデューラ, 本命寛・野口京子(監訳)(2010). 『激動社会の中の自己効力』 金子書房)>