「それ、苦手!」「わたし、ムリ!」こんなネガティブ・ワードを あなたは言っていませんか?
こんにちは、日本セルフエスティーム実践協会(JSELジェイセル)の小西です。
リモートワークという新しい働き方は、望むと望まないにかかわらず、3蜜を避ける環境としてスタートしました。働き方も多様性が求められ、働く側も柔軟性が求められるようになっています。もっと自由に大声で話したり、笑ったり、仕事帰りに仲間と一杯ということは、当分できない今、新しい日常が始まっています。商談はもちろん、飲み会やカルチャースクール、雑談に至るまで、リモートの世界が広がっています。
仕事のやり方もどんどん変わり、仕事自体も変化していると思います。それと共に、社会の価値観が変わってきている、つまり人の意識も変わっているように感じます。今私たちは、新しい日常を模索して日々を過ごしているのです。今までの経験を維持したいと思っても、お構いなく分からないことが迫ってくる! そんな時に、「え~、どうしよう!」となってしまう自分がいるのではないでしょうか。
まったく経験のないことに「わたし、ムリ!!」
このような状況から、ビジネススタイルも様変わりして、新たな取り組みを始めなければならないのです。例えば、営業のスタイルは「人に会ってなんぼのもの」と言われていましたが、人に会えない今、いままでやってきた経験がゼロになってしまったと思えるのです。仕事の仕方が変わり、自分自身も適応力を磨き、能力を高めて成果を出さなくてはならない。そんな中で、まったく経験のないことに踏み出すとき、プレッシャーを感じて「わたし、ムリ!」とネガティブ・ワードを言ってしまうことがありますね。そんなプレッシャーや不安感情を作り出すのは、あなたの認知です。
「ネガティブ・ワード」は、あなたのやる気を吸い取るバンパイア
私自身も、新しい試みに対して、思わず「わたし、ムリ!」と、こころの中で言って、なんだか自分の気持ちに、重いものが乗っかった気分になったことがあります。「わたし、ムリ!」私に出来っこない。プレッシャーを感じて逃げ出したい気持ちも湧いてしまいます。じつは何気に使った言葉ですが、私たちは気がつくと、ネガティブな言葉を使っています。
自分に語りかけることの60%は、自分を責めることだと言われています。例えば、「あ~、私、なんて馬鹿なの!」「ダメな私!」など、つい口からこぼれてしまいます。このようなネガティブな言葉で、感情もネガティブに引っ張られることが多いのです。セルフエスティーム―自己肯定感―は、それによって下がってしまうのです。ですからネガティブ・ワードは、私たちのやる気を吸い取るバンパイアといってよいでしょう。
新しいことにチャレンジし、常に前に進んでいかねばならない時、ネガティブな言葉は、私たちのやる気を吸い取っていくのです。そして「やる」という決断を鈍らせます。まわりに、ネガティブ・ワードを話す人がいませんか?その人はバンパイアになっているかもしれません。近づかないことをお勧めします。ネガティブ・ワード、おそるべしです。意識して、ポジティブ・ワードを使うように心がけてください。
「それ、苦手!」と決めつけて、自分の枠を自分で決めてしまう。
人は「私はこういう人間だ!」と、自分のアイデンティティを勝手に枠組みしてしまう。例えばこんな話があります。ある男性が彼女をデートに誘いました。彼女はたまたま都合が悪く断ったのですが、彼は「デートに誘って、うまくいったためしがない。誰も僕とデートしたくないんだ」と深く落ち込んでしまいました。ダメだった経験を一度でも味わうと、その嫌な経験が何度も何度も繰り返し起こるように感じてしまうので、「僕はすべての女性に拒否される。」と自分で枠組みしてしまうのです。
自分が生みだした自己イメージに要注意
例えば、小学生のころ、体育で出来なかった経験を持つと、「何をやってもスポーツはできない」と思いがちになります。ですから、違うスポーツをやろうと言われても「それ、苦手!」となります。これでは、スポーツに対する自己効力感は高まらないですね。このメカニズムは、「自分はスポーツが苦手だ」と認知していることで、「できないに決まっている」と感じて、「それ、苦手!」と声になっているだけです。
経験を自分がどう捉えたかが、自己評価を生み、その自己評価が自己イメージをつくっています。でも、この自己イメージは、曇りガラス越しに自分を見ているような曖昧なものです。自分の生み出したイメージが、「それ、苦手!」をつくっていると言えます。
ほんとうに「それ、苦手!」なのでしょうか?
「それ、苦手!」と言ってしまう裏側には、自己評価の低さ、つまりセルフエスティームの低さがあります。スポーツができない自分は、ダメ人間だと認知しているのです。別の見方をすれば、できない自分を守っているとも言えます。できなかった自分にこれ以上できないことをさせたくない、みんなに見られたくない、だから「それ、苦手!」と言うのです。「それ、苦手!」という感情を作り出すのは認知。その認知が正しいかどうか常に検証していれば「それ、苦手!」という感情的決めつけが生じることはありません。
できない自分の枠組みは、漠然としたものです。自分に対するネガティブ・ワードに気がついたら、「客観的に自分を捉える問いかけ」を使ってみると良いでしょう。ご自分の「それ、苦手!」「わたし、ムリ!」と思っていることを( )内に当てはめて、下記の●の問いかけを自問自答してください。
例:(スポーツ)が苦手と言っているけど: ●どれだけの(スポーツ)を知っているの? ●どれだけの(スポーツ)を経験してきたの? ●どれだけの時間を(スポーツ)に費やしてきたの? ●何を根拠に、(スポーツ)は苦手と考えているの? ●どれだけ(スポーツ)に対して努力してきたの? ●(スポーツ)について、いろいろな人に教えてもらった?
この問いかけで、気づくでしょう?根拠がない思い込みだということが。少しずつやっていけば苦手意識はなくなりますし、能力は努力次第で伸ばせるものです。「それ、苦手!」「わたし、ムリ!」という感情は、「やろう!」とする決断を先延ばしさせます。このようなマイナス感情に、自分を追い込まないようにしましょう。
新たなことに挑戦するとき、「それ、苦手!」「わたし、ムリ!」と言って、自分自身にブレーキをかけないで。今何ができるかではなく、「これから何ができるようになりたいか」を考えましょう。自分の認知の仕組みを理解して、その不安感情を吹き飛ばし、やる気スイッチをオンにして「なりたい自分」に近づいていきましょう。
変革せよ。変革を迫られる前に。 ジャック・ウェルチ(米国の経営者・1935~2020)